8 きのこイズグローバル?

「兄さんはきのこ嫌いなの? 秋から冬になると大活躍なのに」

 優人が不思議そうな顔をして和宏に問いかける。

 1UPきのこらしきものは、無事吸収された。しかしながら、この世界で人体にどんな影響を与えるのかまだ判明していない。

「大活躍?」

「そう、寒くなると刻んだり、割いたりして入れるでしょ?」

 優人は背中の鞘に大剣をしまいながら。

「そんな痛々しいことをするのか⁈」

「痛々しい? 平田もよく入れるよ?(鍋に)」

 平田とは優人とルームシェアをしていた大学時代からの友人。

「平田がれる? お前に?」

「俺に? まあ俺とは限らないけれど(俺だけ食べるとかないよね?)」


──俺の弟にナニしてくれてるんだ! 平田。

 しかも、優人だけじゃない?!


「いろんな奴に挿れるのか⁈」

と驚愕する兄に、首をかしげる優人。

「ああ、そっち(種類)? まあブラウンとか、ホワイトとか」

「それはグローバルということか?」

と更に問う和宏。

「グローバル?! まあ、そうなのかな(マッシュルームは海外産だよね?)」


──つまり平田は、黒人さんや白人さんとも?!

 そんなただれた学生生活で良いのか?

 俺が見ていないところでナニを……。

 ちゃんと避妊はしてるんだろうな⁉


「生じゃないだろうな」

と和宏。

「え? 入れる時?」

「挿れる時だ!」

「俺は入れたことないから知らないけど。普通、生じゃないの?」

と優人。

「挿れられっぱなしってことか? でも確認くらいするだろ? 生かどうか」

「えええええ? ちゃんと出来てるから、別に確認しなくて良くない?」

 ”入れられっぱなしって何?”と優人は首をひねってる。

「できる?!」


──何人子供作ってるんだ?!

 許すまじ、平田。


 平田は理不尽に和宏から恨みを買った。

 恨まれレベルが2に上がった!


「平田はそんなにいろいろ挿れて、飽きっぽいのか?」

「飽きっぽい? 毎日同じは誰だって嫌でしょ? 色んな種類を加えたほうが美味しいしさ」

と優人。

 チラリと佳奈の戦っている方角を気にしながら。

「色々くわえる?!」

 

──挿れるだけじゃ飽き足らず、咥えてるのか⁈


「優人も咥えたりするわけか?」

 なんて破廉恥なんだ! とプンスコしながら問う和宏。

「俺は加えないよ? 平田が加えてくれるし」

「平田が優人のを咥える?!」

「俺の? 別に俺のだけじゃないと思うけど……」

 佳奈は伸ばした杖でゴブリンをツツいている。

「他にも?!」

 和宏の頭はパンク寸前だ。


「俺、ちょっと加勢に」

と優人。

「待て、優人!」

 それを追う和宏。


──お兄ちゃんは、お前をそんな破廉恥な子に育てた覚えはないぞ!

 説教してくれる。


「お姉ちゃん! 後は俺が。お姉ちゃん……そもそも後衛でしょ!」

と優人が佳奈に声をかけた。

 すると、

「コーエー? そうか、その手があったわね」

と佳奈。

 杖を掲げると、

「真・佳奈無双!」

と言って杖を両手で持ち直し、回転し始めた。

「千人斬り!」

 回転により、杖の先がぽこぽことゴブリンにあたり1とミスを繰り返しながらHPを削っていく。

「そちの武功褒めおこう……って敵一体だし!」

と優人がノリツッコミをするも、和宏はゲームをやらないため暗号に聞こえる。


「ふう。なんとか倒したわね」

 佳奈の活躍(?)によりゴブリンは無事にご臨終となった。

 ゴブリンがいたところにはマネーらしきものと、光る何かが落ちている。

 それを佳奈が拾い上げると、何か音が鳴った。

 優人がパーティステータスを開く。


 パーティ名:地雷

 パーティレベル2

 パーティリーダー:雛本和宏

 特殊技:地雷を置く

 所持金:140ポコ


「パーティ名!」

 佳奈がムンクの叫びのような顔をしている。

「なんで! プリンセス雛本みたいな可愛い名前がよかったのにいいい」

「プリンセスって……(苦笑)」

と優人。

「ここの貨幣はポコって言うのか」


 ダンジョン攻略一歩目。

 どうやら魔王城奪還までの道は長そうである。

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