5・ちょ……あっ……個人情報、駄々洩れすぎ!
妹、佳奈がダンジョンに行く前にステータスの確認をしようというので、ステータスを開けてみたのだが……。
名前
年齢 24
【基本ステータス】
職業:セイショクシャ
LV:1
HP:1
MP:20
SP:3
称号:過保護・ブラコン・シスコン
備考:長子・DT・お付き合いした人数3
状態異常:特殊な呪いにかかっています
和宏のステータスを見た途端、佳奈と優人がムンクの叫びのようなポーズをキメめた。しかしゲームはやったことがない、世間に疎い和宏には何が何やらである。
──HP? エッチなポイント?
MP M度か? ということはS度は3……。
俺はマゾだったのか?!
だが、DTってなんだ?
「ちょ、ちょっと待っててお兄ちゃん」
「うん?」
佳奈がガシッと弟、優人の腕を掴む。
”仲が良いな、お兄ちゃん妬いちゃうぞ!”と思いながらも、離れていく二人を黙って見送る。何かの作戦会議だろう。
兄、和宏は干渉しない方針を固めた。
一方、佳奈と優人は。
「なに、おねえちゃん」
「お兄ちゃんのHP1ってどういうこと?!」
「一回攻撃食らったら死ぬか、無敵って意味じゃない?」
「なに、その二分の一の確率!」
佳奈は頭を抱えている。
「
「まあ、ゲームじゃないからターン制ではないと思うけれど」
と、優人。
続いて優人がステータスを開ける。
名前
年齢 19
【基本ステータス】
職業:剣士
LV:1
HP:240(+200↑)
MP:80(+70↑)
SP:100(+50↑)
称号:女神に監視されし
備考:末っ子・非DT・お付き合いした人数13
付与:兎耳帽子(ステータスUP効果)
「ちょ! しまってしまって!」
と慌てる佳奈。
「なに?」
「不味いわ、お兄ちゃんに見られたら発狂しちゃう。お兄ちゃん極度のブラシス(ブラコン・シスコン)だから」
優人はなんのことだ? と思いながらもステータスを畳む。
「それにしても、お兄ちゃんDTだったなんて! お兄ちゃん、わたしが責任を持って筆おろしを……」
乙女の祈りのようなポーズをする佳奈。
「……(それは不味いだろ)」
優人は聞かなかったことにした。
続いて佳奈のステータスを開けてみる。
名前
年齢 【非公開】
【基本ステータス】
職業:魔法使い
LV:1
HP:30
MP:100
SP:20
称号:ブラコン・厨二病
備考:中間子・【非公開】
「あー! あーっ! 見ちゃダメ!」
ステータスの一部を隠そうとする佳奈。
「非公開?」
と不思議そうにステータスを覗き込む優人。
「非公開にできるの! あーっ、もう! 称号は非公開にできないなんて」
嘆く佳奈。
「自白って?」
と素朴な疑問を口にする優人。
「いや、なんかね。この世界に来る前に女神から”初恋の相手は誰?”って聞かれて、ついポロっと……」
優人は聞かれなかったの? と問われ、
「特には」
と返す。
「優人の称号もなんか気になるけれど、兎耳帽子凄いアイテムだったのね」
と佳奈。
「そうみたいだね」
「で、優人の初恋は?」
佳奈が肘でツンツンと優人をこづく。
「お姉ちゃんだけど?」
と照れもせずに答える優人。
「えええええええええ!」
何故か佳奈は歓喜の声をあげた。
「ねえ。結婚しちゃう?!」
と佳奈。
「しない」
「もう、なんで優人はいつも塩なのよ!」
佳奈は”おこ”のようだ。
そこへ暇を持て余した兄が近づいて来た。
慌ててステータスをしまう佳奈。
「三人で戦闘ってちょっとバランス的にキツくない?」
と優人。
大抵のゲームは四人戦闘だった気がする。
「某ゲームでも魔、僧、戦だったら道か旅がいた方がいいものね」
と佳奈。
和宏には暗号にしか聞こえない。
「こんな時、平田がいればなあ……」
と優人。
平田とは優人の親友の名である。
しかし兄にとってはNGワード。
「優人にはお兄ちゃんがいる!」
案の定、兄が般若のような顔をしたのだった。
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