俺とコイツのラブコメはいつまでたっても始まらない。
いと
第1話 俺とコイツの関係はなかなか縮まらない。
俺、
そんな自慢の彼女の名前は
俺と浅野が何故交際関係になったのか、というか何故浅野がOKを出したのかクラスメイトからも不思議がられているが、俺自身未だによくわからない。
中3の2学期最後の日、12月25日に俺は長いこと恋焦がれていた浅野冬華に告白をした。まぁ、学校ではなく二人とも通っている塾の帰りにこっそりとだが。あのころは思春期真っ只中なのでクリぼっちとかその類のものに分類されるのが嫌だったのだ。そしてまぁ、ダメもとで告白をしたらまさかのOKが返ってきて、それはもう驚いた。嬉しさよりも驚きが勝っていたほどには。そして、続いて浅野が言った言葉を当時の俺は時期が時期だしと軽く流してしまっていた。これが、今になって響いてくるとは思わずに。
「交際関係になるのは構わないけれど、今は受験勉強に集中したいからめんどうくさいことはしたくないの。今までと変わらない態度で接してほしいの」
さて、俺は彼女からなんとか志望校を聞き出し、いわゆる進学校に分類される公立高校へ受験、そして合格したわけだが重大な事実に最近になって気づき始めた。
彼氏彼女らしいことがなにもできていないという事に。
理由は分かっている。俺のせいだという事も。まず、受験期それも冬休み前という受験生が勉強に対して並々ならぬ努力をつぎ込んでいる時期に告白したのが間違いだった。受験までは当然勉強に集中するかたちになる。そして受験後。気づいたら終わっていた。いや、合否分かってから春休みまで早すぎるんだって。
そして、春休み。進学校は当然のように宿題が大量に出たわけで、このうやむやな進展のない関係は入学後の今日まで続いてしまっているというわけだ。
「はぁ~」
「どうしたんだよ秋。何か悩み事か?勉強以外なら相談に乗るぞ」
俺がため息をついていると、高校での初めての友人、
「あぁなんだ亮か」
「あぁなんだとはひどい扱いだな、全く。で、ため息の理由は?」
「実はな、彼女との交際関係が進展しなくて…」
「またそれかよ!1週間前にも同じこと聞いたぞ」
俺の悲痛な悩みを亮は毎回聞いてくれるから、優しいやつなんだなと改めて思う。
「どうすればいいんだよ~、ね~亮く~ん助けてくれよ~」
「自分で何とかしろよ!このリア充めが!」
「そこを何とか!」
「あー分かったよ。一つアドバイスをやるよ。いいか、自分の気持ちを一方的に押し付けないようにすることが大切だ。相手が自分から距離を縮めてくるまで待つんだ。それっぽい行動をたくさんするけど決して必要以上の好意を見せちゃだめだ。相手が秋への好意を押さえきれなくなるまで待つんだ。すなわち、焦らしプレ…っておい、秋どこ行くんだよー」
下らないなほんとに、あいつは。さて真面目にどうしたもんか、浅野は別に俺のことを嫌っているわけでは無さそうだけどなぁ。
よし、ここは思い切ってデートでも誘ってみるか。
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