第11話 死人使い、猛攻。そして、俺ちゃん覚醒して必殺技を会得する

 死人使いデスメソスの振り下ろされた手から禍々しい波動が発せられたように感じた。

 と、俺の周りのアンデッドたちが一斉に俺へ顔を向ける。

 それから、ずるずる、カタカタとにじり寄り始めた。

 それぞれ腕を前に伸ばし、俺に掴みかからんばかり。

 きっしょ!

 いくらエルフちゃんでも死体じゃあなあ……。


「死ね。そして、我が忠実な下僕となるのだ」

「……エルフとエロいことする前に死んでたまるかぁ! うわ、寄るなきめえ!」


 俺は目玉の抜けた腐れ顔のアンデッドが掴みかかってきたのを振り払った。

 ごうっ!

 その一振りだけで、アンデッドたちがばらばらに吹っ飛ぶ。

 そいつらは地面に叩きつけられ、砕けたり、ひしゃげたり。

 軽く腕を振り回しただけなのに……俺、強過ぎか?

 そうして残りのアンデッドたちが懲りずに掴みかかってくるのを、ちぎっては投げちぎっては投げ。


「うおおおおお!」

「……全滅だと……? 30体からのアンデッド達を……。ふ、さすが私が見込んだオーガといったところか。こうなれば、貴様を是が非でもアンデッドにせねば元が取れんな。仕方がない。私が自ら殺してやろう」


 死人使いは崖上から俺のいる岩場へと飛んだ。

 ふわっと不自然な優雅さでゆっくり降り立つ。


「さあ、殺し合おうか、オーガよ。敗者はその身を勝者にどう使われようと文句は無しだ」

「く……っ! ……こうなればさっき思いついた新技を試すか……!」

「新技だと?」

「そうさ! くらえ! フルバースト!」

「なに!? い、一瞬で奴の姿が消えた……!?」


 死人使いの茫然とした声が聞こえてくる。


「い、いったい、どこへ……?」

「かかったな!」

「ぐわー」


 俺は隠れていた影から飛び出し、死人使いをがっちり掴んだ。

 あっさり拘束する。

 思ったより柔らかで華奢な手応えだ。


「ば、馬鹿な!? 今、一体どこから現れた!?」

「俺は最初から隠れちゃいない。目の前にいたんだぜ?」

「なんだと!?」

「答えはこれさ!」


 ばあーん。

 俺は自らの股間を突き出す。集中線ずぎゅうぅん。


「急速にフルおっきさせたチソチソの陰にしゃがんで隠れていたという寸法よ! オーガの巨チソチソならではトリック……思い知ったか!」

「く、くそう……! なんだか急にひどく卑猥な彫像が現れたとは思っていたが、卑猥過ぎてあんまり見ないようにしていたのが仇となったか……!」

「ふふふ、お上品過ぎたのがお前の敗因だ! むしろ小学生くらいのメンタルなら、わーチソコチソコ! と駆け寄ってきて蹴り倒すくらいしてすぐ俺の姿を見つけていただろうにな!」

「完敗だ……!」


 俺の手の中で、死人使いデスメソスが脱力するのが感じられた。

 その拍子に、死人使いのフードがずれて顔が明らかになる。


「……え? お、お前……!」

「……こうなれば好きにしろ!」

「エルフじゃねーか!?」


 特徴的な耳。

 繊細で美しい顔立ち。

 滑らかな褐色の肌。

 これ、エルフはエルフでも闇エルフってやつじゃない!?

 声も鈴のようだし、間違いなく女!

 ただ随分背が小さくて子供みたいだが……それでもわかる!

 こいつ、エルフだ!

 いやっほおおお!

 掴む手にも力が入っちゃうってもんだぜ!

 みしみし。


「……いたっ」

「お、すまんすまん」

「……巨大なチソチソを持つ卑しいオーガめ……早速私を辱めようというのだな……!」

「いやいや、そんな。いくらエルフ好きの俺でも、げへへ、メスエルフガキわからせとか、ふひひ」

「望むところだ!」

「……ん?」

「そのチソチソで私を好きなように蹂躙するがいい……! さっさとしろ! やれ、やらぬか!」

「……ええ……?」


 俺は性暴力を強要してくる黒ローブ姿の闇エルフに困惑する。

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