大人たちからは無視され、子供たちからは馬鹿にされ、石を投げられる少年、朱乃。彼の唯一の理解者は奇妙な詩を歌うタヌキの子だけだった。そのタヌキの子の力で、朱乃は不思議な旅に出ることになり……。
奉公先のお寺で、あるいは商家で、朱乃はたびたびつらい目に遭う。そんな時、自然と手が動いているのだ。そして、その手はさまざまな芸術作品を生み出していく。
芸術とは何か。生きるとはどういうことか。心地よい生き方と美しい生き方はどう違うのか。
誰もが必死で悩み、そして答えの出ない問いに朱乃は挑んでいく。その結果として生み出されるものは何なのか。芸術が芸術と呼ばれる所以は何なのか。
その答えに作者が全力で挑んだファンタジー時代活劇にして不滅の芸術賛歌。