ハッピーバースデー 二回
仲仁へび(旧:離久)
第1話
今日は、今年二回目の誕生日だ。
一年の中で、うまれてきてありがとう、の日が二回もあるなんてとっても贅沢。
普通なら一回だけのそれが二回訪れるのだから、思いっきり満喫しないと損だわ。
私は、用意されたケーキを見て、笑顔を浮かべた。
ケーキに立てられたロウソクの数は、一回目の誕生日の時と同じ十本。
私は、それらのロウソクに灯った火を一思いにふきけす。
そして、きりわけられたケーキにフォークをつきたてる。
美味しい。
でも、このケーキは私の好みのケーキじゃないのよね。
ショートケーキだから。
そこが一回目の時と違う所。
一回目はチョコだった。
私はチョコレートのケーキが好きだから。
私はケーキをもぐもぐほおばりながら、問いかけた。
「どう、おいしいかしら?」
お姉さんをイメージした大人びたセリフで。
すると、私の口からまた言葉がもれた。
「うん、ショートケーキおいしいよ!」
今度は、子供っぽいセリフだ。
私は「それなら、良かったわ」と再び喋る。
この誕生日会、双子の妹も喜んでるみたい。
私達は生まれた時、双子だった。
私が姉で、もう一人が妹。
日付をまたいで生まれたから、ちょっと珍しい双子かもしれない。
けれど、妹は生まれてからすぐに亡くなってしまった。
本当ならそこでさよならのはずなんだけど、なぜか妹の魂は私の中に宿ってしまったようだ。
それ以来、私は妹の魂と一緒に生きている。
だから、誕生日が年に二回やってくるのだ。
「来年もまたお祝いしようねお姉ちゃん!」
「ええ、そうね」
ハッピーバースデー 二回 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます