第17話 姉と、弟と、 その6

「それで、君の最初の質問の答えだけど、」


彼は姿勢を正して、改めて私と向き合った。


「お姉さんが、僕に好意を持っている事は解っていたよ。

時期を見て、お姉さんと僕と二人で話をしてみるね。それで、良いかな?」


「…………半分しか、お答えいただいていませんが?」


曖昧にしようと思っても、逃してくれないようだ。

この子も、姉と同じく優秀だね。


「好ましく思っているよ。お姉さんと話をしたら、君にも報告しよう。今は、これで良いかな?」


「それだけお答えいただければ、僕としては十分です。ありがとうございます。」


ホッとしたような感じで、すこし笑顔になった彼。


連絡先を交換して、彼が帰ったあとの店内で思わず溜息が出る。


『良い人』か………


久々に、言われたな。

まあ、彼は悪い意味で言ったわけでは無いのは解っていても、ダメージ大きかったな。


付き合った歴代彼女から振られる時に、例外なく言われた言葉だ。

みんな僕なんかより、暴力的だったり、サイマーだったり、詐欺師紛いの男の方が良いと言って去っていったからな〜


何故だろう?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る