第15話 姉と、弟と、 その4
「姉は、貴方に好意を抱いています。貴方は、姉の事を、どう思っていますか?」
その事は、薄々気付いていた。いや、客と店主の関係上、気付かないふりをしていた。
彼に、答える前に、少し話を。
「答える前に、聞いてほしい。まあ、僕の独り言だとでも思ってくれていいし、答えてくれなくてもいい。
君は、誰かに好意を抱いたり、逆に抱かれたりした事はあるかな?」
「………無いと、思います。」
残念、彼はこの店に最初に姉たちと来た時、一人の可愛い少女がずっと彼を嬉しそうに見つめていた事に全く気付いて無かったからね。
あれは、切っ掛けはどうあれ、好きな人と一緒に初めて喫茶店に入れた嬉しさからだよ。
まあ、あの時は、君は姉の事が気になりすぎてそれどころではなかったんだろうけど。
「僕と君のお姉さんとは、この店の中でしか会ったことも無いし話したことも無い。そんな中で、もし、お姉さんが僕に好意を抱いているとしたら、きっと何か勘違いをしているんだと思うよ?」
「………勘違いで好きになっても良いと思いますが?」
「じゃあ、君自身は誰かに勘違いで好かれたらどう答える?とりあえずお付き合いして、やっぱり勘違いでしたねと、捨てたり捨てられたりしても君は良いのかな?」
「………やっぱり、貴方は、良い人ですね。」
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