奇憶

時折ふと思い出す


家が燃える

人が焼ける

手にはマッチを擦る感触

鼻にはマッチの点く匂い

耳には高鳴る心臓の鼓動


闇の中で光が灯る

小さな光は熱を伴い

眩い程の大きな光となった


燃え上がる炎は家を焼き

燃え盛る炎が人を燃やした

燃える家で人が焼けた


箱の中は暗かった

箱の外はもっと暗かった

手にした光は闇を照らした

手にした火で炎を灯した

小さな火は闇を照らす炎となった


闇で光を照らし

光で闇を遮った

手にした闇は光に変わり

そして全て消えた


そんな奇憶

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