空虚
俺には何もない
それらの日々がない
あるとすれば
俺という生物が産まれた瞬間に得た
俺という人格が生まれた瞬間に獲た
気がつくとその二つだけが俺に寄り添っていた
どんなに笑っていてもその裏には空虚があった
どんなに笑わせていてもその裏には空虚があった
喜び、怒り、哀しみ、楽しさ
俺の
思い出など存在しない
俺の
何一つ感じられない
俺の
絶望すらも許されない
タスケテ
と言えるほどの人間ではない
タスケテもらえるほどの人間ではない
俺が
他人から感謝されてはならない
恩を仇で返されても仕方がない
なぜこうなったのかなどわからない
気がつくと空虚しかなかった
友人も知人も家族も俺自身も
俺にとって
泣き言を言えるほどの人間ではない
泣き言を言っていいほど生きてない
生きてはいても活きてはない
死ねば終わる
終わらせることは出来る
ただ一つ他人と共通する
それを手放すことは幸せか不幸せか
その空虚を手放した瞬間に俺はきっと
ただそこには俺はいない
誰かが俺を見ていて
誰かが俺を思い出してくれるかも知れない
それだけしかない
それならばせめて
たった一度だけでも産まれてきてよかった
生きていてよかった
そう思える瞬間を活きられるまで
俺は空虚を抱いて空虚と共に過ごす
求めるものは何もない
あるとすればただ一つ
空虚の外側にある世界
俺は空虚だ
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