第13話 二年越しの再会

遠すぎて再会の場面は残念ながら見えないけれども


けれども心優しき小さなウサギさん達には『心の目』で


背が高く……風雅な貴公子の彦星の君と

ほっそりたおやかで、空気まで清々しく良い香りがしそうな織姫

 

そんな御2人が


見つめ合い……

視線を外さず艶やかな微笑みを浮かべて


橋の丁度中央の位置で幸せそうに立っているのを、思い浮かばせる事が出来たのです


2人は真っ直ぐに相手を見つめて花の如く微笑み……

ゆっくりと優雅な足取りで最後の数歩を歩み寄る


そして……

穏やかに優しく手を取りあうであろう事も



「お会いしたかった

もう生涯巡り会えないかと思いました」


「いいえ!

心より貴方様のことをお慕い申しておりまする」


彦星の君は優しく腕を伸ばし、きっと柔らかく上品に抱き締めることでしょう


織姫のお姫様も、そぅっと両腕を伸ばして

背中に手を廻しキュッと嬉しげに大切に想いを込めて掻き抱く事でしょう


お姫様の御衣装の、長い輝く袖がヒラヒラと御相手を包み込み……


小鳥?……

いいえ幻の蝶の羽根の如しに銀色と虹色に光輝きながら、ロマンティックに一夜を言祝ぐことでしょう



比翼連理の〜

一年に一度しか会う事が出来ない愛し合う永遠のカップルは


残酷な天帝の取り決めに従い、例え今宵一度だけの逢瀬でも存分に、お心を慈しみ会うことでしょう


織女と牛飼いの

儚くも美しい深い愛を、心の中で感じとったのでした



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