天宮の愉快な仲間達〜織姫と彦星

夏生めのう

第1話 七夕の夜

昔々大昔……


天帝のおわします空の最も奥深い尊い場所での出来事です



天帝の怒りで

天に流れる銀の星の川を隔てて一年

遠く遙かに離ればなれの若いカップルがおりました


年に一回の深夜の〜カササギの橋を渡り出会う逢瀬

でも前年度は天候が荒れ、愛する者達は気の毒に天の川を渡ることが出来ませんでした


待って待って待って

待って



二年ぶり、今宵こそは〜!!と……

陰でコッソリ応援していた皆

心優しき神仙達は優しく見守っておりました


「今宵はきっと大丈夫っっ!!」

「そうよねっっ♡」


光輝くお月様に住んでいる可愛らしいウサギさん達もそのお仲間で、今夜はぺったんぺったん〜お仕事のお餅つきを早めに終えて、手早く店仕舞いして

 

織姫様と彦星君のために、恋の成就の為に、なんとかお空を暗くして差し上げなくってはね!!

 

そんなお話をしながら大忙し

山のようなお祝いのお餅を沢山ついておりました


うんそのとおり……天気は上々♪


ピカピカの天の川はキラキラキラキラ…

どこもかしこも銀の砂をまいたよう


誰もが今夜は会えると信じて疑いませんでした

でも予想外の事が起きたのです

 

天気は最高

今年はずぅ〜〜〜〜っと天気が良いピーカンの快晴


つまり……

ぎらぎらの初夏

 

そう

気温も異常に高いのです

夜間になっても深夜になっても一向に、空気の温度が下がりませんでした


どこもかしこも異常気象の年でした

熱すぎて人間の住む下界では山火事が起きるほどの……!


「大変でございます!」


「何だね?鷹の姫君よ?

鳥の王の美しき姫のお前が、遠路そんなに息せき切ってどうされたのじゃ?」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る