競輪の神様と非実在の競輪予想師2022 パート③「GⅡ 第38回・共同通信社杯」編
鉄弾
第1話 せっかくの休日なんだから
今日は平日だが、シフトの都合で一日お休みの静所アリサ。彼女の勤務先は、立川市内のステーキハウス。昨日まで頑張って働いたから、今日はゆっくり休みを楽しもう。アリサはそう考えていた。
せっかくの休みだが、いや、せっかくの休みだからこそ、寝て過ごすのはもったいない。なので、今日は久しぶりに新宿の百貨店巡りでもしようと考えていたアリサ。
新宿には高島屋、小田急、京王などの百貨店がひしめく。大丈夫、金ならある。ミッドナイト競輪で儲けた競輪貯金がある。
財布の中身を見てにやけるアリサ。百貨店巡りをするので、ちゃんとお洒落もした。
「準備OK、ヨシ!」
「では、行こうか」
「うん、任せて!って、誰!」
アリサは背後に人の気配を感じた。
とっさに振り返るアリサ。しかし、そこには誰もいない。
聞き間違い?いや、違う。ハッキリ人の声がした。しかも、子供の声だ。自分の部屋の中を確認するアリサ。
と、彼女の視界に見覚えのある少年が入った。彼は堂々とアリサのソファーの上で仁王立ちしている。
「あっ、アンタは・・・」
その年齢は10歳くらいで、サラリとした金髪。服装は某・名探偵小学生を彷彿とさせる。
「久しぶりだな、アリサ」と、自分より年上の女性に対し、敬意が微塵もない少年。
「お行儀が悪いわよ。ミニ競輪の神様」
早くも競輪の神様を警戒するアリサ。彼が現れた以上、もう次の展開は決まっている。
「アンタが現れた以上は、劇場版・ワンピースやドラえもんを観に行くってことじゃなさそうね・・・」
「勿論。あっ、ワンピースも、ドラえもんも、僕は大好きだ。何せ、永遠の十歳児だからね!」
偉そうにどや顔をする競輪の神様。
「私、今日は予定があるので、神様の子守はできません」
先手を打って、キッパリと断りを入れるアリサ。
「つれないな。子供の面倒をみるのは大人の責務だぞ?」
「なら、言葉遣いを改めなさい。そんなパワハラ小学生みたいな言葉遣いはゆるさないわよ?」
「わかったよ、お姉ちゃん。これでいい?」と、態度を一変させる競輪の神様。
「やれば出来るじゃない・・・」
不覚にも子供っぽい仕草に母性本能が揺さぶられたアリサ。
「さて、今回のミッションだが―」と、007の上司・Mのような口調になる競輪の神様。
「
「そんなことはないさ。キミの競輪好きには敬意を表するよ」
気取った様子で話す競輪の神様。
「ということは、また私を並行世界へ連れて行く気ね?」
警戒感を
「話が早くて助かるよ」
「嫌よ。今日は百貨店巡りをするんだから。そのつもりで、今日を楽しみにしていたんだから」
「まあ、最後まで話を聞いてくれ。今回はいつもと違うルールを採用する」
「いつもと違うルール?まさか、勝ったお金は持ち帰っていいとか?」
少し驚いて目を丸くする競輪の神様。
「鋭いな。その通りだよ」
「なんだと・・・」
今度はアリサの様子が変わった。
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