海凪人公記

みなと あおい

1章 金塊と少年 「い」

 昔々ある山の麓に大きな龍が住んでた。そこは大きな池で、近くの村の人々からは「大池に住む神龍様」だと言われていた。神龍様と言われる理由は、その龍は色が真っ白であり、頭の角、目、牙が黄金であったからである。またその龍がに住んでからというもの村には災いが一度も起きなかった。なので、人々は、「神龍様のおかげじゃー!」といたく神龍様を祭り上げていたのである。

 話は変わり、その近くの村、に一人の少年が住んでいた。彼の名は「みなと」と言った。みなとは大層なで、両親が村一番の頑張り屋の百姓なだけに、村の人々から馬鹿にされていた。そんなある日、がいつも通り川で泳いでいると、川上の方からドンブラコ、ドンブラコと大きな金のきんのかたまりが流れてきたのである。は「これで働かなくて良くなる!」と思い、すぐに金の塊を岸に上げ、家に持ち帰ったのである。家に持ち帰ったは金の形をまじまじと見て大層驚いたのである。なぜなら、その金塊が歯の形をしているからである。はそれですぐにこの金の塊がなんなのか分かったのである。

「これは神龍様の歯じゃ‼早く返さないとわしと同じように神龍様が間抜けだと思われてしまう」

は神龍様に金の歯をお渡しするべく、大池に向かうことにした。

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