光騎士 ジャスティライザー

山ピー

第1話光の騎士降臨

宇宙、それは無限に広がる暗黒の世界……。

様々な生命が存在し無数の星々で暮らしている。

その中には邪悪な意思を持つ者も……。

一つの隕石によってその一つが地球へ送られる。

−とある惑星−

ここに光の騎士として修行を積んで来た若き戦士が居た。

彼の名はジャスティライザー。

ジャスティライザーは自分の師であるマスター・リュークに呼び出されていた。

「マスター・リューク、お呼びですか?」

すると振り返ったマスター・リュークは答える。

「来たか、ジャスティライザー。いよいよお前の修行の成果を試す時が来た」

「えっ?」

「今、地球に邪悪なる意思を持つ者が送り込まれた」

「邪悪なる意思?それは一体!?」

「パラノイド……あらゆる生物に寄生し、無理矢理進化させる寄生生物だ」

「そんな奴が……」

「恐らく何者かが送り込んだんだろう……。ジャスティライザー、お前は地球に向かいパラノイドの侵攻を止めろ」

「それが俺の初任務と言う訳ですか……」

「頼んだぞジャスティライザー」

「はい!」

ジャスティライザーは地球へ向け出発。

宇宙へ飛び立った。


−地球−

神崎巧(かんざき たくみ)20歳はフリーターだ。

冴えない日々を送っていた。

夜、バイトからの帰り道を歩いていた。

「あ〜あ……今日もバイト疲れたなぁ……」

巧は自宅のアパートに帰り着く。

階段を上がり部屋の前に着くと……。

巧が帰ったのを察知した様に大家が声を掛けて来た。

「神崎さん!家賃払ってよー!」

「あ〜すみません。来週には給料入りますからそしたら払います」

「ったく、今度こそ頼むよ」

巧は部屋に入る。

「はぁ……あっ!そうだったこの前新しいDVD買ったんだった!」

巧の買ったDVD、それは彼の唯一の趣味、特撮のヒーロー物の映画のDVDだった。

巧は子どもの頃から特撮ヒーロー物が大好きだった。

「この映画見に行けなかったからなぁ、やっとDVD出た」

巧はこんな毎日を送っていた。


−翌日−

巧は今日もバイトをしていた。

巧のバイト先はスーパー。

巧の他にもパートや社員が数人働いている。

巧は品出しをしていた。

そこに社員の女性、宮本 萌(みやもと もえ)が声を掛けて来た。

「神崎君、ちょっとコレ運ぶの手伝って貰っていい?」

「あっ、はい!」

巧と宮本は新たに入荷して来た商品を店内の倉庫に運び入れる。

巧が手伝い商品を運び終えると……。

「ありがとう、助かった」

宮本がお礼を言って来た。

「いえ、お役に立てたなら良かったです」

「じゃあ戻ろっか」

そう言って宮本は売り場に戻って行く。

宮本さん今日も可愛いなぁ……。

そんな事を考えながら巧も売り場に戻って行く。

巧は密かに宮本に憧れていた。


それから数日後の深夜、地球に隕石が飛来。

それ程大きくは無い隕石だった為、落下した時の衝撃は大した物では無かった。

大気圏の摩擦によって隕石自体は燃え尽きたが、アメーバ状のパラノイドだけが地上に到達。

地を這い何処かへ向かうパラノイド……。


その翌朝も巧はバイトへ。

「宮本さん、今日も居るかな〜?」

巧は宮本に会えるのを楽しみにバイトに行っていた。

巧のバイトが始まり、朝から開店の準備をしていた。

まず巧はレジに入り準備を進める。

そこにスーパーの店長の木田 武士(きだ たけし)。

「神崎君おはよう」

「あっ、店長。おはようございます」

「今日は忙しくなるだろうから宜しくね」

「はい」

人当たりが良く温厚な性格の木田は巧も信頼出来る上司だ。

店が開店ししばらくした頃、パラノイドはオオスズメバチの巣に近づき、一匹のハチに寄生した。

寄生された一匹は急激に進化し人型になっていく。

そして、オオスズメバチは怪物となった。

その名はキラービー・パラノイド。

他のオオスズメバチを従える。

キラービー・パラノイドは手始めに巣の近くにあった巧のバイト先のスーパー喜田屋を襲撃しに向かう。

一匹のオオスズメバチが男性客の一人を刺す。

「痛てっ!?」

他の客も気付き騒ぎ出す。

騒ぎを聞き木田や他の従業員も集まる。

「え?ハチですか?」

「ああ……刺されたぞ……」

「とにかく病院に……」

従業員の一人が付き添い男性客を病院に連れて行こうとするが……。

「それもだけど、早く退治してよ!怖くて買い物もろくに出来ないわ!」

女性客の一人が文句を言う。

「はぁ、そうですね。じゃあまず……松本さん、病院にご一緒して」

「はい。では病院へ」

「ええ……」

松本の付き添いで病院に向かう男性客。

そして……。

「さて、ハチの方は……誰が行くか……」

当然誰も行きたがらない。

だが、一人の男性社員が意を決して手を上げた。

「じゃあ、私が……」

手を上げたのは西岡だった。

巧はレジからその様子を見ていた。

「何かあったんですかね?」

巧が近くに居たパートの安藤さんに尋ねた。

「ハチが入って来たらしいわよ」

「え〜……ハチ!?」

そして、西岡が殺虫剤を手にハチを探しに行く。

「どこだ〜?」

辺りをそっと歩きながら棚や商品の裏にハチが隠れて居ないか恐る恐る探す。

だが、西岡の前に現れたのはオオスズメバチの大群だった。

「うわっ〜!?」

西岡が慌てて戻って来る。

「店長〜ダメです……素人の手には負えません……一匹だけじゃありません!!」

「ええっ!?何だって!?」

だが、大量のオオスズメバチが店内に入って来る。

不気味は羽音を立て襲い掛かって来るハチの大群はただただ恐怖を増幅していた。

店内は大パニック……。

「うわっ!?」

「嫌だも〜……」

巧と安藤さんも驚く。

「落ち着いて下さい!出口はこちらです!」

木田は何とか客を誘導し避難させる。

従業員も客も店を出て安全な場所に集まる。

「ふぅ〜……皆、大丈夫か?」

「何とか……」

「しかし、あのハチどうします?」

男性社員の村田が尋ねる。

「あれじゃあ、害虫駆除業者に頼むしかないな」

「ん?あれ?宮本はどうした?」

西岡が宮本が居ない事に気付いた。

「宮本さんならさっき倉庫の方に行ってたわよ?」

パートの大森さんが教える。

「え?」

巧は耳を疑った。

宮本は倉庫に商品を取りに行っており騒ぎに気づいていなかった。

「今戻って来たらハチに襲われる……」

「無線で伝えよう」

そう言って木田が無線で宮本に連絡をするが……。

何故か連絡が付かない。

「ダメだ……無線を持って行ってないのか?」

「どうします?」

従業員達に決断が迫られる。

誰かが店の中に戻り宮本を迎えに行くしかない。

しかし、誰もハチの大群が占拠する店内になど戻りたい訳が無い。

「よし、ここは店長の私が……」

木田が意を決して店内に戻る事にする。

「いや、俺が行きます」

巧が名乗り出た。

「神崎君!?」

「行かせて下さい」

「いやぁ……でも……バイトの君に行かせる訳には……」

「お願いします」

「だが、危険だぞ」

「分かってます。だけど、行かせて下さい」

巧の決意は固かった。

「まぁ……そこまで言うなら……」

木田は内心ホッとしているが巧に何かあったら責任問題になると思い複雑な心境だった。


そして、巧は殺虫剤を手に宮本の元へ向かう。

「じゃあ、業者に連絡しておくから」

「はい」

「無線持って行け」

西岡が巧に無線を渡す。

「あっ、はい」

無線を受け取ると首から下げ巧は倉庫に出発。

幸い売り場にはハチの姿は見当たらず襲って来る様子は無かった。

しかし、巧は緊張し心臓はドキドキと激しく脈打っていた。

その頃、倉庫では宮本が売り場に戻ろうとしていた。

「よし、これでOK」

しかし、宮本に迫る影……。

宮本の目の前に突然キラービー・パラノイドが現れる。

「きゃっ!?」

キラービー・パラノイドは宮本に襲い掛かる。

「きゃあぁぁぁぁっ!?」

宮本は必死に逃げる。


そして、巧は倉庫に到着。

「宮本さん!!」

巧が倉庫の扉を開けると目の前に広がっていた光景はキラービー・パラノイドに襲われる宮本の姿だった。

「神崎……君……助け……て」

「なっ……何なんだよ……この化け物……」

足が竦んで動けない巧……。

だが、宮本を助ける為、勇気を振り絞ってキラービー・パラノイドに挑み掛かる巧。

「宮本さん!逃げて!!……早く!!」

「う、うん……」

「売り場はまだハチが居るかも知れないから気を付けて!」

「え?」

しかし宮本は倉庫の奥へ逃げる。

キラービー・パラノイドは巧を払い除ける。

「うわっ!?」

キラービー・パラノイドが攻撃をしてくる。

「うっ……」

更にキラービー・パラノイドは巧に攻撃を続ける。

巧は何度も殴られ投げ飛ばされる。

「うっ……クッソ……こんな時……本物のヒーローが居たら…」

キラービー・パラノイドが迫る。

「俺が……ヒーローになれれば……宮本さんを……皆を守れるのに……」

キラービー・パラノイドの攻撃をギリギリで避ける巧。

「うわっ!?チクショー……皆を守れるヒーローになりてぇよー……」


−宇宙空間−

巧の想いに呼応するかの様にジャスティライザーに声が聞こえる。

「!誰かが……俺を必要としている……待ってろ!!」


−地球−

キラービー・パラノイドは巧にトドメを刺そうと迫る。

キラービー・パラノイドは両腕から毒針を出す。

「やべぇ……殺される……」

キラービー・パラノイドが攻撃。

「うわっ!?」

だがその時、巧の体は光に包まれた。

キラービー・パラノイドの攻撃を弾く。

「なっ……何だ?」

その時、巧の目の前にジャスティライザーが現れた。

「よっ!大丈夫か?危ない所だったな」

「誰だお前?」

「俺はジャスティライザー。宇宙を守る光の騎士だ」

「ジャスティライザー?光の騎士?」

「説明は後だ。このブレスレットを腕に」

ジャスティライザーは巧に変身アイテム『ジャスティーチェンジャー』を渡した。

「コレは?」

「腕に付けろ。そしたら分かる」

「あっ、うん……なら、やってみっか!」

巧は左腕に『ジャスティーチェンジャー』を装着した。

すると、巧はジャスティライザーに変身。

「聖なる光の騎士!ジャスティライザー!!」

(何だコレ!?本当に変身した……)

巧も驚きを隠せない。

「当たり前だ。俺達は今、一体化してる。お前は俺、俺はお前だ!」

(へぇ〜すっげぇ!!)

「行くぜ!!」

ジャスティライザーがキラービー・パラノイドと戦う。

その圧倒的は戦闘力でキラービー・パラノイドを追い詰める。

(え?え?何かわかんねぇけどすげぇ!!)

「へへっ!付いて来いよ!」

ジャスティライザーは更に攻撃しキラービー・パラノイドにダメージを与える。

ジャスティライザーは騎士を名乗っているが素手でキラービー・パラノイドと戦っていた。

(おい!何か必殺技はねぇのか?)

「おっ!あるぞ。とっておきのがな!!」

(じゃあ使おうぜ!)

「おう!!」

ジャスティライザーは『必殺剣・シャインブレード』を出現させる。

(おおー!かっけぇ〜!)

「行くぞ!」

ジャスティライザーは必殺技『シャイニングスラッシュ』でキラービー・パラノイドを斬り裂く。

キラービー・パラノイドは爆散。

ジャスティライザーは変身を解除し巧の姿に戻った。

「ふぅー……」

そこへ宮本が戻って来る。

「神崎く〜ん!」

「あっ、宮本さん……」

「ねぇ、今何か爆発したみたいだけど大丈夫?」

「え、ええ……あの化け物が……」

「え?何で?一体何があったの?」

「あ〜……ヒーローが倒した……みたいな?」

「はぁ?」

その後、オオスズメバチの大群は害虫駆除業者によって駆除され事件は無事解決した。

売り場に戻った巧と宮本。

「いや〜良かった良かった。何とか皆無事だな」

木田が安心ホッとした様に言う。

「ええ……」

「神崎君、ありがとうね」

「あ〜いや……へへっ……あっ、あの化け物の事は内緒で。皆は知らないんです」

「うん、分かった」

そしてその後……。

(そういえばまだ名前聞いてなかったな)

「あっ、俺は神崎巧」

「そうか。じゃあ巧、これから宜しくな」

「ああ」

こうして地球人の青年と光の騎士ジャスティライザーは出会った。

しかし、彼らの戦いはまだ始まったばかりだ。


巧の様子を見ている一人の怪しげな男が居た。

「フフッ……来たな……ジャスティライザー。面白くなりそうだ……」


続く……。







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