カレー

「カレーが食いてえ」


 三人揃った休日の前日、明日何にしようかという相談の中で火志磨はそんな主張を立てた。

 別に夜や昼でもよかったが、余裕があるし朝作ろうとあずきは考えた。正確にはブランチになるが、親友は朝に弱いのでちょうどいいだろう。ヨーグルトとニンニク生姜、カレー粉に漬け込んだ鶏肉を冷蔵庫に入れておく。

 翌朝、玉葱を刻むのと炒めるのは言い出しっぺの恋人にやらせる。トマト缶とカレー粉、牛乳(本来は生クリームらしいが手持ちがなかった)で作ったバターチキンカレー。親友がボイルして冷蔵庫に入れてくれていた人参とブロッコリーを添えて。


「「「いただきます」」」


 心配だった鶏肉を漬け込んだヨーグルトは目立たない。トマトの酸味で食べやすく、普通のカレールウ程もったりしていないそれは、目覚めきっていない体でも問題なくするすると口の中に入っていく。

 そこまで辛くないし、程よく酸味もあるこの味は半分ロシア人の親友の味覚にも合っているようだ。目をキラキラさせながら二杯目はマッシュポテトと一緒に食べていた。恋人は三杯食べたが、数時間後はアスレチックで遊ぶからまあ問題ないだろう。

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三色の食卓 狂言巡 @k-meguri

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