第2話

このニュースを見て思った事は、「これは事件なのか?」という事である。

私は、この事件が報道された時に感じた違和感の正体を突き止めるために、ネット等で調べてみたのだが、結局事件の真相について知ることは出来なかった。

この事件に対して様々な意見があったようだが、私の意見としては、


「こんな事をする人間が存在する事が信じられない」


というものだ。

確かに、彼はやり過ぎたかもしれない。しかし、彼の行動原理自体は理解できるのだ。

例えばの話だが、あなたは自分の住んでいる地域に、ヤクザのような人間が居たらどう思うだろうか? 怖いとは思わないか? きっと、ほとんどの人が怖いと思うはずだ。それと同じなのだ。

人は自分とは違う存在を恐れる。だから排除しようとする。

もちろん、今回の事件を起こした人間は許されないだろう。

しかし、彼が起こした事件は、自分の住む地域に存在する異物を排除しようとしただけの話であって、そこに善悪は存在しない。

私はこの考えに行き着いた時、ゾクリとした感覚を覚えた。

もし、私が彼と同じように誰かを刺していたとしても、同じ様に思われていたのではないかと思ったからだ。

私は、自分が人殺しをしていたかもしれないという事実に恐怖を感じた。

この事実をを他の人に知られたくないとも思った。

もしかすると、これが世間一般でいう『普通』の反応なのかもしれない。

だが、私は違う。

私は、自分にこのような衝動的な一面が存在している事に興奮を覚えるタイプだ。

恐らく、私の性癖はこの先変わることは無いだろう。

私は、これからも何かしらの問題を起こして逮捕される事があると思う。

その時、世間はどのような反応を示すのだろうか? それは分からないが、少なくとも私は後悔しないであろうと確信している。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る