貴女もなの？

第1話

神様から素敵な力を貰った。

なんでもひとつだけ願いを叶えてくれる力だ。

私を虐待する親、虐めてくるクラスメイト、そんな私を疎ましく思う担任、そんな私を見えないふりする人間全員、地獄に堕ちれば良い。

唯一、他校に通う幼馴染のチカちゃんだけは、私を慰めてくれるし、ひとりの人間として扱ってくれる。すごく優しい。私みたいなバカ高ではなくて、県内トップの学校に飛び級で入学したという天才だ。私を見下したりしない。いつか東京でアイドルになりたいと心の内を吐露した際も、本気で応援すると言ってくれた大親友だ。

チカちゃん以外、いらない。でも、神様いわくそういうのは無理らしくて、もう少し広義？で定量的？な願いである必要があるらしい。

そうして金曜日に私は神様にお願いした。

「私より頭の悪い人は皆死ね！」

土曜の昼過ぎ、チカちゃんは待ち合わせの時間になっても来ない。

そういえば、とある不登校の少女が心臓発作で亡くなったらしい。

ハチ公前で何時間も待っている私を殴った同級生がそう言っていた。

家に帰ると、いつものように両親は私を殴った。

月曜日に先生が傷だらけの私を疎ましそうに見る。

ラインは未読のままだ。

日曜の夜、夢に神様が出て来て言ったことを思い出す。

「願いの効力は一年続く」

私は、一切の勉強をやめて、可能な限り頭の悪いとされることに手を伸ばし始めた。

あなたを生き返らせられるように。

そして訊きたい。