第9話散歩

ようやくこの家にも馴れてきた。

飼い主と犬のスキンシップは飯と散歩や、

散歩は犬にとっては必須科目や。家に篭もってるとストレスは溜まるし、筋力が低下するから体力が低下する。

散歩はパパさんの役割でいわば相棒みたいなもんや。



このあたりは犬を飼ってる家が多い。

人の付き合いも大変やけど、犬の付き合いも大変や。

散歩してるから顔見知りの犬は沢山居るけど犬にも個性がある。

やたらとキャンキャン吠えてくる奴。俺こう言うのは苦手や。

キャンキャン吠えるのは大抵はちび犬。俺の方が大きいから怖がるんやろけど、あまりにも煩いので大きな声で吠え返してやった。するとキュンキュンと言いながら飼い主の後ろに隠れよった。後でパパさんから、お前は貴族犬なんやからアホ犬は相手にするなと怒られた。



近頃ではパパさんもアホ犬の対応が分かったらしく、正面衝突しないようにサッと脇道にそれる。これは助かる。余計なストレス抱えたくないし。

散歩のルートは五六パターンある。どのルートを辿るかは見当も付かない。決まってるのは朝は門を出て左、夕方は右となってる。

その日の気分で遠くなったりショートカットしたりで予想も付かない。俺に主導権とられないようにしてるのかもしれない。

調子の良いときは一駅位は歩かされたな。

今から思うとこれが一番幸せだった期間や。



隣の家にも犬がいる。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る