第4話ペットショップ

ペットショップでは二年ほどお世話になった。

名前はと言うと生まれた順にタグが付けられていて十番目に生まれたから十と振られていた。

アルファベットで十番目はJだからジョーと名付けられた。台風の名付け方と同じや。


兄弟のうち半分は売れてしまった。女の子と栗毛の順や。

残った半分は男の子と黒毛で、なかなか買い手がなく、ただ飯を食って肩身が狭い思いをした。 

ショップが困ってるのは俺でも分かる。

そのうち、ショップの経営が悪化してきたみたいでショップを閉める事になったみたい。

となると他人事ではなくなる。最悪保健所行きかも。背中に冷たい物走ったわ。 

俺、聴き耳立てて聴いてたから人間が話すこと何となく分かるようになった。

これからの作戦を立てるには、事前に情報は多い程ええし。

ショップのお兄さんお姉さんが知り合いに電話を掛けまくって引き取り手を探してくれた。

特に親父はコンテストで優勝したことがあるとか言ってた。早う出て行って貰いたいのは分かるけど、俺は俺や。

兄貴達は九州に貰い手が見つかって来週にも受け取りにくるようや。

これが今生の別れになるな。元気でな。

俺はと言うと最後の一匹になってしもたけど、隣の市から引き取りたいと返事があった。

引き取り手が決まるとショップも忙しくなる。伸び放題のロン毛では断られるかもしれんから早速トリミングの予約してた。俺、イケメンになったで。



しかしまだ安心はできん、俺ぶっきら棒やから嫌われへんか気になる。

犬やけど嘘でも猫っかぶって甘えて印象よくしよ。


なんせ生活がかかってるし、このまま売れ残ったら保健所行きやから。あそこだけは行きたくない。


きたきた、熟年の夫婦や。舐めまくって上目使いで擦り寄ったろ。 

二度とこんな事せんけど。 

何とか貰ってくれるようで安心した。

手続きが終わって夫婦が乗ってきた車に乗せられ自宅まで。

ここから俺の第二の人生が始まる。

やった、これで地が出せる。


でも、仕事だけはキッチリやるよ。

飯さえ食わしてくれたらね。

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