わたしの中の「記憶」

仕事の事務所は私の部屋にするとしても・・・・・・・・・・。メンバーが一人だけなのは結構ブラックだと思う。今はいないけど、漱石にも手伝ってもらおう。仕事で予知能力があるものに手伝ってもらうと__________。とかなんとか漱石が言ってた気がするし、予知をしているって漱石自身も言っているのだから、問題はないだろう。

次の日。今日は昨日に増してより悪化していた。目が両目とも腫れていたのだ。なのでもちろん学校は休んだ。昨日の夜。私はまた夢を見た。私がまだ、生まれてから三年とか、四年くらいの時なのだろうか。身長も低くて、足元がおぼつかない歩き方。私は庭で寝っ転がって、木陰の木の下で絵本を読んでいる。イラストや表紙を見る限り、多分「うばすて山」だろう。われながらなかなか読んでいる本が独特だ。それに隣にあるぬいぐるみ。あのぬいぐるみはなぜだかとても懐かしい。カエルの首周りにキリンが巻き付いているぬいぐるみで、周りからすると、カエルの息の根を止めにいっているキリンのようなぬいぐるみだ。やはりわれながらセンスが独特だ。そこにいきなりかわいらしい女の子?のような子が現れた。かわいいな。と心の中で呟きながら見ていたその時、いきなり場面が切り替わった。雨の中。私がずっと道路の真ん中で泣きじゃくっている。目の前には横転した車と突っ込んだ車、突っ込んだ車の運転手は突っ立っている。私はひたすら泣いていた。傍観者のようにただひたすら見つめている今の私は周りの人には見えないようだった。でも「昔の私」には見えるようで、小さい私が今の私にこう言った。「これからは絶対泣くな。」と。なぜなのかはわからない。でも小さいころから周りが泣いていても私は泣けなかった。泣こうとすればするほど、より泣けなくなっていったからだ。そこでぷつっと夢は終わった_______。

あれから漱石をずっと見かけていない。もしかしたらどこかへ行ってしまったのかもしれない。なんだかその考えが頭を駆け巡るたび、私の胸の奥が鷲掴みされているような、寒気がするような、そんな感覚になる。私はそんな感覚に陥ることさえもが怖かった。これまで感じたことのない感覚に陥ることで、これまでの私が消えてしまいそうな気がして怖いのだ。まったく私はこの感覚を知らない。まったく違う人たちの世界だとこれまで割り切ってきた世界に足を踏み入れるというのはこんなに恐ろしいものなのだと、その時私は初めて知った。

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