隅っこ 17歳の放浪鈍行

第10話 影

 少年に影はなかった。


 少年はいつも通りスクールといわれた使い古された檻に入っている。


 ここは常人しか入れないのだ……。


 クラスメートはいつものように「おい、馬鹿野郎」と罵ってきた。


 


 少年はそれを厭うことはない。


 それはこの隔絶された空間に棲む少年にとって当たり前のことだった。


 が、このクラスメートの目にはどう映るのか彼にはわからない。


 スクールにはとてもくだらない造語癖に染まってしまった、気楽な言葉の趣味の大合唱が繰り広げられている。



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