第1話 王と復讐の騎士01
MDⅡが大盾で樹獣:豹型を大木へ叩きつけ、大きな衝撃音と共に樹獣:豹型の大きな隙を作った。
金髪白人の操縦者は樹獣:豹型の隙が生まれた瞬間を見逃さず、MDⅠの駆動版を思いっきり踏み込みこんだ。
MDⅠ背部の改造ディーゼルエンジンが思い切り空気を吸い込む。内燃機関部が吸い込んだ水素と燃料の水素を練り込み、イグニッションプラグの着火によって、今までよりも力強く唸りが上げる。
金髪白人の操縦者は改造ディーゼルエンジンからの急上昇をした出力に合わせて、両手で素早く
「くらえ!!! 」
GUGAAAAAAA!
金髪白人の操縦者のMDⅠに横っ腹を切り裂かれた樹獣:豹型から凄まじいほどの痛々しい悲鳴が上がり、間髪入れずに指揮官席に座っていた黒髪の青年が黒人アフロ頭にするどく指示を出す。
「MDⅡ、11時、
黒髪の青年の指示と同時に樹獣:豹型は持てる力の最後とばかりにMDⅠに飛び上がり襲い掛かった。しかし、黒髪の青年の指示を受けたMDⅡが最大出力で大盾の突撃を行った。大盾の攻撃は樹獣:豹型の側面に当たり、11時方向にある大木へ吹き飛ばし、叩きつける。
Gurururu・・・Ga!
「フン! やらせんよ」
Guga・・・
樹獣:豹型は大木に叩きつけられた後、弱弱しい声を上げ、ズルズルと地面へ落ちたがまだ頭を上げ動こうとする。そこへとどめとばかりに金髪白人のMDⅠが
「しぶてーーーんだよ!!! 」
GURAAAAAA!
怒声と共にMDⅠは
「ヤーヤーヤー! やったぜ! 見てたかロレッタ! 俺の見事な剣捌きを! 」
とどめを刺したMDⅠの操縦者の金髪白人が歓声をあげる。
管制席に座っていた丸みを帯びたショートカットで眼鏡をかけたロレッタと呼ばれた女性がまだ幼さが残る声で金髪白人の操縦者へ注意喚起する。
「ジュリアルドさん! まだ早いですよ! 周辺の警戒を! 」
しかし、指揮官席の黒髪の青年の静かで落ち着いた声が全体に響いた。
「イヤ、周辺にはもういない。これで終わりだ。ジュリアルドとグローサリは被害報告と樹獣の検体採取を。ロレッタは引き続き、周辺の警戒を頼みます」
と途中何かがきれたように青年の口調が変わるも戦闘の終了宣言をし、金髪白人のジュリアルドと黒人アフロ頭のグローサリー、管制官のロレッタに次の指示を出した。
ふぅと一息をつき黒髪の青年は腹の前で組んでいた両手を解きだらんと腕を伸ばして、背中をずらして椅子に沈み込んだ。少し戦闘で乱れた呼吸を整えたら、右腕を軽く上げてフルフルと降り、前方右側の操縦席に座る白髪頭の爺さんに声をかけた。
「オラジさんはキャッスルベースをこれ以上戦闘はないので移動形態へ移行させてください」
「了解じゃの」
コンソールをタッチしていく。戦闘のため閉めていたの艦橋のシャッターを下ろし、艦橋に光に入り明るくなると同時に木々の緑が見えてきた。
更に
左側にある管制席に座っていたロレッタが右後方を振り返り、椅子に沈み込んだ指揮官の青年に声をかけてきた。
「しかし、一文字隊長、すごいですね。なんであんな風にまだ動いていない敵の次の動きがわかってしまうんですか? 」
と一文字隊長と呼ばれた黒髪の青年はかなり疲れているのか、問いかけてきたロレッタへ気怠げに答える。
「エート、事前に占ってきた結果に少しだけ勘度をプラスした予測により、先を視ているんだよ」
「う、占いに感度ですか・・・?それに先ですか・・・画面制限のある操縦室内であの樹獣を見るんですか? 」
「違う違う、その感度じゃない。ロレッタは新人だから知らないのか。キングが言っているのは第六感とかの”勘”度だぜ! それによって視る先は予知的に視得るだぜ! 」
とジュリアルドはロレッタに音声を流してきた。
「勘ですか!? それに予知って・・・またまたーそんなこと狙って出来るものなんですか? 」
とジュリアルドの有り得ないような話しにロレッタは顔をすがめ胡散臭そうに更なる疑問の声をあげた。ロレッタの疑問の声にジュリアルドは軽快に答える。
「おうさ、キングならではだけどな! 」
「ならでは・・・それは駐屯地を出る前にしていたお祈りみたいなあれですか?もうジュリアルドさん適当言っちゃだめですよ。あんなんで勘が良くなったりするんだったり、予知ができるならいくらでも祈りますよ!? 」
「て、適当じゃないぜ! キング! なんかいってやってくれよ!」
「第一キングってなんですか! キングって。一文字隊長はどこかの王様なのですか!? 」
「キ。キングー」
ロレッタは当たり前の疑問と憤りをジュリアルドにぶつけた。しかし、それが普通に在り、ロレッタの当たり前をぶつけられたジュリアルドはキングと呼んだ一文字に助けを求めたが、一文字は一息つくと場を取りまとめるべく各々に指示を出した。
「ふぅージュリアルドさんしゃべりすぎですよ。検体収集は終わったんですか?ロレッタも周辺の警戒は緩めてはダメですよ? 」
「はっはい。すみません。もうジュリアルドさんの馬鹿」
「おぅ問題ないぜ。って八つ当たりだな!? なぁーグローサリ? 」
「………」
ロレッタは慌てて手元のコンソールに視線を戻し、指を世話しなく動かしはじめ、ジュリアルドはグローサリに視線を向ける。向けられたグローサリは黙々と作業を行い終わらせていた。
「・・・ロレッタ終わったぞ」
「はい。お疲れ様です。グローサリさん。これで終わりです。隊長」
「了解です。MDを
「了解」
と一文字は操縦者のオラジへ指示を出した。移動形態となっていた
「マリナさん大丈夫なのでしょうか?あの豹型に追われていた樹虫の群れに1人で良いって飛び出して行きましたけれど・・・
「イヤ、ロレッタ。
「っは!? ジュリアルドさん本当ですか!!! マリナさんが危ないじゃないですか!!! 早く援護いえ救助に行かなくてはだめじゃないですか!? 隊長急ぎましょう!!! 」
と焦りを感じたロレッタは一文字を救助へ急ぐように声をかけたが、声をかけられた一文字は泰然として椅子に身体を預けていた。
「マリナなら大丈夫ですよ。あんなものに負けるようにはできてませんから」
「え! いえいえいえ100匹以上はいましたし、持っていたのはおかしな形をした剣だけだったし!殺されちゃいますよ!? 」
「あの程度に殺されるなら殺された方が幸せかもしれませんがね・・・」
「な!? 部下の命が危ないっていうのにそんなに言い方ないじゃないですか!? 」
「おぉい、ロレッタ落ち着け、マリナはホントあんなんで死にやしないさ。まぁなんだ隊長なにを言っても見たほうが早いんじゃないか」
「ふぅ、そうですね。オラジさん、すみませんが、速度あげてお願いします」
「了解じゃの」
と
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