竜眼魔術師団《Longan Magic Division》
阿々藍烏 青辰@ロボ×魔術小説執筆中
第0話 開幕
英国中央部の木々が生い茂る森の中、道ともいえない道を全長20mの両脇に大砲を備えた戦艦にキャタピラを付けたような戦車が進んでいた。
また、戦艦型戦車の前方を
警護していた二体のロボットは、この
戦艦でいう艦首部分と思われる部屋の中はには、指揮官席の前方左右に操縦席、管制官席があった。それぞれには白髪頭の老人と成人を迎えたぐらいの眼鏡をかけた女性が座り、コンソールやインカムに触れ、周囲を警戒していた。
指揮官席には日本人の青年がどこか遠くを視ている感じで座っていた。指揮官の青年は八個の指輪がはめられた両手を組み、艦首正面を見据えていた。
キラリと指輪は光り、指揮官の青年が口を薄く開いた。
「
指揮官の青年は静かな声だが艦首室全体には通る声で前方の人型ロボット二体に乗っている操縦者に細かい指示を出した。
それぞれのMDに乗っていた操縦者達はMDⅠを12時方向、MDⅡは10時方向に向きを変え、指揮官の指示に従い迎撃行動に移った。
指揮官の青年が指示通り、MDⅡの10時方向より木々隠れていた6m程の黄緑色の体に黒の斑点がある豹がガサリと現れた。しかし、その豹には体毛がなく、磨き上げた樹の表面のような艶やかな身体をしていた。
黄緑色の豹は猛然と吠え、鋭い爪を持った力強そうな両腕を振り上げ、MDⅡに跳び掛かってきた。
GAAAaaaaaaa!!!
「グッ」
MDⅡが3歩下がって大盾を構えた所に木彫りの豹の左右の腕が振り下ろされ、その腕の先にある両爪が勢いよく大盾に当たり、大きな衝撃音と共に大盾の両脇を大きく凹ませた。
MDⅡに乗っていた操縦者の黒人アフロ頭は黄緑色の豹の攻撃が当たった事で発生した強い衝撃に声を上げたが、指示通り大盾でしっかり防御出来た為、次に出ていた指示に移れるよう態勢を整えた。
黄緑色の豹は両爪が当たったが大盾を切り裂けず、致命的な効果が無かったと感じた。次に黄緑色の豹は両爪で大盾を抑え、上から噛み付こうとしてきた。
GUGAAAAAAA!
「グゥ! フン! 」
黒人アフロ頭の操縦者は黄緑色の豹が上から噛みつこうとしてきた事に気が付き、大盾を持ち上げ、黄緑色の豹の噛みつきを防いだ。逆に黒人アフロ頭の操縦者は黄緑色の豹が上から噛みつこうとした際、背が伸びてバランスを崩しやすくなった隙を見逃さなかった。
黒人アフロ頭の操縦者はMDⅡの思い切り駆動板を踏み込み、操縦桿を押し込んだ。MDⅡのエンジンが勢い良く唸りを上げ、機体全体に力が伝わる。その力をMDⅡの大盾を持っていた腕を横に振り、大盾に噛みついていた黄緑色の豹を大木に叩きつける腕力へと変え、黒人アフロ頭は気合一閃の声を発した。
「ハッ!!! 」
Ggaaaaaaaaaa!!!
大木に叩きつけられた黄緑色の豹は息詰まった声を上げ、大木へ叩きつけられた反動で巨体がよろめいた。
黄緑色の豹のよろめきを見て、突撃準備をしていたMDⅠの操縦者の金髪白人が待っていたとばかりに
「ウォォー、クラァァァッァァァ! 」
木々の緑に囲まれた森の中で気勢の声があがり、振り下ろした
黄緑色の豹と二体のロボットによる戦いはまだ終わらず、戦いによる音が森の中を響いていった・・・
それは現在の地球において、日々繰り返される人類と樹の化け物との戦いの一幕であった・・・
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
近未来の地球は温暖化などによる砂漠化の影響が無かったかのように緑溢れ、多い茂っていた。そして、総人口71億人いた人類は約22億人までと激減していた。
地球を覆い茂る緑、そして、激減した人類、それは人の手による植林などによるものではなく、世界の各都市や地域に宇宙より降り注いだ隕石による天災=シードブレイクによってもたらされたものであった。
シードブレイク・・・それは各都市や地域に落ち、壊滅的なダメージを負わせた隕石が隕石ではなく外宇宙よりもたらされた植物の種子あった。各都市や地域に落ちた種子は、一週間後には60mを超える大樹となり、その周りも次々に木々が生え、緑で覆われることになった。
それだけであれば人口が約1/3までに減ることはなかったが、種子の成長過程で傍にいた生物を飲み込んだ植物は、飲み込んだ生物に似た生物を生み出した。その生物は人類に対して牙を向き、襲い掛かってきたことも大きく減らした要因であった。
生れ出た獣や虫に似たには生物としてあるべき細胞に細胞壁がなかったため、分類上植物、特に樹の細胞によって形成されたことより、樹種とよばれ、その形態で樹獣、樹虫と名付け分けられた。
樹獣、樹虫は元となった獣や虫よりずっと大きくなり、細胞等が樹を模様して形成しており、体表面の硬度が非常に高いという特徴を持っていた。
その為、人間大のサイズまでであれば、重火器等の近代火薬兵器、それを超えるサイズに対しては、戦闘機や戦車クラスの火力なければ対抗出来なかった。しかし、戦闘機や戦車では通常の動物と同じように滑らかに動く樹獣、樹虫に対し攻撃を当てる事が難しく、人類は苦戦を強いられていた。
滑らかに動く樹獣、樹虫の行動に対抗する為、幅の広い運動力、高火力を求めた結果、映画やアニメにあるようなロボットの製造する事に行き着いた。幸いにも想像上の軍用ロボットに近く、かつそれを実現可能なものとして、日本において作られた人間搭乗型四輪ロボット「クOスタ」が目に留まった。
その搭乗部上方にあったカメラセンサーを人の頭部に似たものにし、その手に武器を持たせ、樹獣、樹虫に人の力だとわからせるよう、下半身部は四輪駆動なれど、上半身はの姿は人というシルエットのロボット、モーターヘッド=MHを作り上げた。
その効果は確かに有り、MHに合わせたサイズの重火器や大型火器の開発により、大型の樹獣、樹虫に対抗できるようになりつつあった。
しかし、木々や森といった増えた自然地帯に対して、四輪やキャタピラでは移動や行動範囲の制限の不自由感は拭い去れていなかった。更なる開発により、二足歩行可能な下半身を完成され、完全な人型ロボット、モータードール=MDを得ることにより、今まで制限されていた行動範囲が拡張された。
人の英知と力を集約させ完成を視たMDは、銃火器をMDに合わせたサイズに変え、火力も増したお蔭で、樹種からの主要都市や基地の防衛に成功し、生存圏を確保する事が出来た。
正し、樹種が潜む森林地帯へは、銃火器等の起こす大きな音により、集まってしまう為、大きく進軍することは出来なかった。
調査や奪還作戦等は剣や槍、斧等といった近接武器や盾を持たせて、戦闘を行っていった。そして、その戦闘は勝利を得る事に成功し、新たな生存圏を広げる事が出来たのだった。
その勝利は人類に希望をもたらしたが、人類にとって新しい戦いの始まりであった。
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