料理人とメイド
「取り急ぎ必要なのは、イミュリアの部下か」
「寝不足になるほどだものな。ブランフィオも済まない」
「い、いえ、それはっ」
「そ、そう、ニャ。大したお話じゃないです、ニャ」
二人とも若干顔が赤いな、なんだか申し訳ない。
『現状のエネルギー量を鑑みると、それぞれ専門の獣魔族であれば五名まで作成可能です。副官のような高性能な個体は一名も生み出せません』
「ブランフィオは特別だな」
「う、嬉しいです、ニャ」
尻尾が個性的だ。
「であれば料理人を三名、ここがダンジョンであることを考えると、戦闘能力もある程度欲しいですわね」
「イミュリアの部下はどうする?」
「後回しで、と言いたいところではございますが、料理人達の身の回りのものもではじめますので、できれば二名いただきたいですわ」
『戦闘能力も込みとなりますと、かなりエネルギーの使用幅が変わりますが……』
「さすがに料理人を戦闘に導入する事態ともなれば、このダンジョンが最終地点近くまで乗り込まれたときだろうな」
「ですわね。そう考えると防衛能力に秀でた、最上位の者が必要になりますわね」
「いや、戦闘力はいらないだろ。ここまで攻め込まれたというのなら、あたしが突破された後ってことになる。ヘンリエッタの力であたしを超える存在が生み出せるか?」
『副長と同種の種族を生み出すことは可能ですが、それが副長を超えるかと聞かれると、不明としかお答えすることができません』
「姉上は特別な種族なうえに、母上の血が流れているからね。母上譲りのタフネスに戦闘センス、各種状態異常への耐性に物理と魔法防御力。仮に姉上と同じ種の魔人を生んだとしても、とてもじゃないが勝負にならない」
ダンジョンで姉上クラスの存在が作れるなら、そもそもこの世界はダンジョンの魔物に支配されているはずだ。
「その通りだ。それとお姉ちゃんな」
「おっと」
真面目な話になると姉上が出てしまう。
「であれば、料理人か」
「わたくしの部下は女性がいいので、バランスを取ると男性でしょうか。頭の上に角があるガゼルタイプは除外ですわね」
「厨房の棚に角をぶつけそうだ、ニャ」
確かに。
「では料理を専属とした獣魔族の男を三人、種族はばらけて……キャット、ラビット、ドッグタイプで作成するか。例によって老人はなしで作ろう」
「じゃあイミュリアの部下が二人だな。あたしの補佐であるイミュリアをメイド長として部下の形でメイドを、とりあえず二人か。グレンの副官のブランフィオがキャットタイプだから、メイドはラビットに統一しよう。それでいいか?」
「うん、いいんじゃないかな」
『かしこまりました』
「あっと、前回の失敗もありますわ。それぞれのクルー用の個室に個別に生んでくださいまし。体格に合わせて隊服を届けなさい」
『かしこまりました』
「最初にわたくしがまずお話いたします。必要がございましたらお二人にも紹介をいたします」
「ブランフィオもいく、ニャ。艦長と副長はゆっくりしているといい、ニャ」
最初は二人が話すつもりのようだ。まあそうか、主人たるオレや姉上にいきなり挨拶をする従者なんていないもんな。
『では艦長、料理人を三名、それぞれ指定された種族で。それとメイドをラビットタイプで二名生成いたします。よろしいですか?』
「ああ、許可しよう」
『かしこまりました……それぞれの個室に生成いたしました』
「結構。では各自に準備をさせて、それが終わりましたら、そうですね。食堂に集合させましょう」
『かしこまりました、指示をします』
どうやら話がついた様子。とはいえダンジョン内の生活環境を良くするためだけの話が片付いただけの話だ。もっとエネルギーを貯めて、ヘンリエッタのいう専属のクルーも生み出さないといけないし、ダンジョンとしての整備もしなければならない。
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