デウス・エクス・マキナになろう〜確率操作で大団円を掴み取れ〜
@undermine
第1話 終焉のビジョン
「くそっ……くそっ……どうしてこんなことに」
青年が泣いている。
何もかもを失って、それでも残った一握りで立ち上がった青年が。
頼みの力は何も通じず、仲間は死に、無様に這いつくばるしかない。
世界の命運を託され、そしてあっさりと負けた。何も成せず、何も遺らず、全ては灰塵に帰すのみ。
重苦しい絶対の絶望がそこにはあった。
「はい。というわけでね。君にこの世界を救ってもらおうと思って」
「いやいやいやいや!!? 詰んでるよね!?」
「なーに言ってんの。これは最も有力な可能性を示しただけ。ほっとけばこうなるよってだけ」
「くそ……なんだってこんな事に」
「あーん? 君が望んだんでしょーが」
「確かに俺はゲームの世界に行きてえなあって言ったよ? でもなんで神視点で終わる世界見なきゃならんのか」
「え?じゃあ戻る? 暗くて惨めな部屋に戻る?」
「っ……それは嫌だ」
「じゃあやらなきゃ。だいじょーぶだいじょーぶ。力は貸してあげるからさ」
「力?」
「そう。この確率操作の力を使って良い感じになるようにしてね」
「確率操作ってなんだよ」
「これこの通り、今見てるとこあるでしょ? そこにちょちょっと触れると何が起こるかの表が出てくるのね」
「確かに出てきた。おいおい、なんだこの0.1%で起こる崩壊ってのは」
「ああそれね。全てのものは壊れるようにできてるからさ? その可能性を示してるんだ。良い機会だし一回見ようか?」
指が滑り、崩壊の値が瞬く間に大きくなっていく。そして、30%を超えたあたりでそれは起こった。
「え、いきなりバラバラになったけど」
「そう。いきなりバラバラになるのが崩壊。もっと大きい規模でもできるけど。君にはこの確率を操作する権限までは与えられないなあ。世界を壊されても困るし」
「そんな怖いモン誰がいじるんだよ」
「ん? 破壊神とかかな」
「お前がそうなんじゃないのか?」
「へえ、面白いこと言うねえ。なんでそう思ったの」
「勘だよ。お前なんか邪悪な感じするし」
顔の見えない謎に存在にそう言い放った。度胸という一点においてはこの男を評価することができるかもしれない。
「でもハズレ。私は機械仕掛けの結末神でね。物事の結末を司っているのさ。バッドエンドもいけれどたまにはハッピーエンドも見たくてね。私がやると何故かバッドかビターエンドにしかならないんだこれが」
「うん。このやりとりだけで、お前が信用できないことがよーく分かった。でも良いさ、これもチャンスだ。やるだけやってみようじゃねえの」
男は改めて世界を見下ろす。四角い枠に収められた範囲には様々な数値が表示されている。のちに世界の命運をかけた戦いをする少年が中心にいた。
「今は5歳くらいかな? ここから色んな布石を打てると思うけど。まずはどうする?」
「彼女を作らせる」
「は?」
素っ頓狂な声が空間に響いた。
デウス・エクス・マキナになろう〜確率操作で大団円を掴み取れ〜 @undermine
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