第〇章 過去

狂い始めた世界

「まただ、またでたぞ!!バグだ!」

「逃げろ!西の方角に行け!!」


叫び声が街中に響く。


「やめて!来ないでぇっ!!!」

「俺の家族が………どうしてこんなことに…!」

「痛ぃ、い゛た゛い゛ぁぁああ!!」

「邪魔だぁっ!どけぇ!」

「お母さんっ!!!お母さんっっっ!!!」

「死にたくないぃぃぃぃ!来るな!やめろぉぉぉぉ!」


悲鳴が、怒号が、地面を揺らす。

止まらない恐怖が襲いかかってくる。


逃げ遅れた人は、死ぬ。

どす黒く染まった巨体、左右対称についていない目、赤く汚れた歯が見える口から垂れるどろどろの唾液。


人々はそれを“バグ”と呼ぶ。

約一ヶ月前から出現が確認され、今も猛威を振るう謎のモンスター。

攻撃はドロドロした粘液に弾かれ、剣などはそのまま掴まれて飲み込まれる。

唯一見つかっているのは、聖属性攻撃魔法のみ。だが聖属性の魔法使いなんてそう簡単にいるわけもなく、ほとんどの場合街は滅ぼされる。

肝心な出現方法や場所は見つかっておらず、急に現れて街を壊しては、どこかへ姿を消す。ギルド本部ですら対応が間に合っていないものである。


この街もこのまま滅ぼされるだろう。

ほとんどの人が諦めかけた。


が。


ドゴォぉぉォォォン!!!!!!!

突然降る光の柱、上がる土煙。

街の人々が音の方向を見る。

そこにいたのは。


肩で息をする少年だった。


光が消え、視界が確保できると同時に、そこにいたのは瀕死のバグ。

そのまま闇に紛れるように黒く染まり、煙となって散っていった。

「あれは…誰だ…?」

「聖魔法使いなのか…?」

「でも見たことないぞ………」

「…と、とにかく! あの少年がバグを追い払ってくれたんだ! 感謝すべきだ!」

「そうだな! ありがとう、少年!」

「助かったぞー!!!」

「あなたのおかげで家族が助かりましたっ…!」


少年は、

「よかった、当たった…!」

と安堵していた。


彼の名前はエルスター。まだ7歳である。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


始まりました、よろしくお願いします!!!!!!!!!

気合いだけはたっぷりです!!!!!!!!!!!!!!

あ、次の話は主人公についてです…

(2022/09/07追記)

次回は明日(多分(間に合わないかも(どうだろう(カッコ重ねすぎだろ))))

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