第13話 裏切り

「ナディア様、これであなたがこの町の代表ですね!」


「ナディア様なら無理な徴収はしないし安心だ!すみませんが今月の支払いは待ってくださいね!」


「あっ!うちもお願いします」


町の人達は自分達の事は棚に上げてナディアに好き勝手声をかける。


「そんな事よりも…さっきの魔物たちの事なんですが…」


ナディアは魔物たちの誤解を解きたいと町の人達に話そうとする。


「そうだ!魔物達はあのままにしておけない、またいつ襲ってくるかもわからないからな」


「そうね!こちらがやられる前に魔物達を討伐してもらいましょう!」


「そうだな、ナディア様魔物達の討伐隊を雇う金を集めて頂けますか?」


しかし彼らは魔物が悪と決め付けていた。


「彼らは町に何かした?よっぽどボブロスキーの方が酷いことをしていたわ。見た目で判断してはいけない、彼らいい人達よ」


ナディアは魔物達を思い穏やかな笑顔を見せる。


「ナディア様?」


「酷い仕打ちを受けて気がおかしくなったのか?」


「こんな小娘に町を任せて大丈夫か?」


「このままお飾りで頭に置いときましょうよ…何か合った時責任を取ってもらうのよ」


ナディアの様子に聞こえないようにコソコソと話している。


「ナディア様、疲れたでしょう。今日はゆっくりとお屋敷でお休み下さい、また明日になったら考えも変わりますよ」


ナディアは押し込められるように屋敷の部屋に閉じ込められた。


「待って!出して!私はみんなのところに…」


扉は外から閉じられ開けられなくなっていた。


「みんな…」


ナディアはベッドで寝る気にもならずに部屋の隅で小さくなる。


ルシファーのところにいた時はこんな寂しい事などなかった。


膝を抱えてこれからの事を考える。


次に扉が開いたら飛び出してみんなにこの事を伝えなきゃ…


ナディアは外の気配に耳を傾ける。


すると壁の向こうからカリカリと何かを引っ掻く音がした。


「なんの音?」


ナディアは壁に耳をつけて音の場所を探る。


「ここから聞こえる!」


ナディアは音がする壁を叩いた、するとガラガラと下の方の壁が崩れる。


ピョンッ!


「ラビ!」


壁の穴から泥だらけのラビが飛び出してきた。


ナディアは思わずラビを抱きしめる。


「大丈夫だった!?みんなは無事?ルシファーは?」


ナディアはラビに畳み掛けるが言葉は通じない。


しかしラビは大丈夫だと言わんばかりに胸と髭を得意げにピンッと立てた。


その可愛い仕草に力が抜ける。


ラビは腕から飛び降りると今来た穴に入ってちらっと顔を覗かせた。


「もしかしてここから逃げろって事?」


ラビはまた穴の中に入ってしまった。


「待って!」


ナディアは慌ててラビの後を追いかけた!

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