第8話 復讐
家に着くとルシファーはようやく地面に下ろしてくれた。
そして椅子を引き座れと促され、ナディアは素直に椅子に腰掛けた。
ラビはそんなナディアの膝にちょこんと座る。
ラビを撫でながら待っているとルシファーが温かい飲み物を入れてきてくれた。
「ありがとう…」
それを飲んでほっと息を吐くとルシファーが聞いてくる。
「ナディアがあまり話したがらなかったから聞かなかったけど、ナディアはどうしたい?」
「私は…」
いつまでもこんな怯えて暮らしていきたくない。
それにお父様の屋敷を全てを取り返したかった。
「私、あの家を取り返したい。お父様やお母様との思い出の残ったあの家を…」
ボブロスキーの好きにさせておくのはどうしても許せなかった。
「わかった」
ルシファーはそういうと席を立つ。
「え?何がわかったの?」
ナディアは不安になってルシファーを見つめた。
「ナディアを手伝うって言ってるんだよ。家を取り返そう」
「なんでルシファーさんが!?これは私の問題だから…」
「でもラビはやる気まんまんみたいだよ」
そう言われてラビを見ると目を見開き髭をピーンと伸ばしていた。
「ラビ、ルシファーさん」
「ナディアの事は結構気にいってるんだ。友達なら手伝ってもいいだろ?」
「友達」
ナディアはその言葉に泣きそうになる。
自分が大変な時に助けてくれるのは人には誰もいない、新しく出来た魔族達だけだった。
「ありがとう…でもルシファーさん達は人の前に出るのは良くないんでしょ?その気持ちだけで嬉しい、頑張れるよ」
ナディアはグイッと涙を拭いた。
「そんなこと言ってもどうする気?今だってどうすることも出来なくて泣いてたんでしょ」
「それは…」
否定出来ずに何も言えなくなる。
「僕にいい考えがあるから」
ルシファーはそういうと口角をあげた。
「ラビ、ちょっと仕事頼めるかな」
ルシファーにそう言われてラビは了承するようにぴょんと膝からおりた。
ナディアはまだ少し部屋で休んでるように言われてしまった。
疲れもありナディアは頷きベッドに横になる。
「ねぇルシファーさん、なんでそんなに優しくしてくれるの、友達だから?」
人間の友達だってここまでしてくれる人はいない、みんな権力や力の前には無力だった。
「友達ってのもあるけど1番はナディアがラビや僕を否定しなかったから、普通に接してくれたからかな」
「そんな事で?」
「ナディアにはそんな事でも僕達魔族にとっては特別な事なんだよ。さぁおしゃべりはこのくらいでゆっくりおやすみ」
ルシファーがナディアの瞼をそっと閉じた。
優しく撫でられナディアはそのまま眠りに落ちていった。
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