第5話 今や「情弱」の、元教師たちへの手向け
坂井幸夫なる人物のしでかしたこの事件について、彼以外にも、裁判でその責任をとらされた者がおりました。
死亡した少年とその両親らに、この「風の子学園」をかなり熱心に紹介した、兵庫県姫路市の教育関係者のアホども(もう、言うてええやろ)です。
元園長の坂井幸夫氏とともに、彼らもまた被害者遺族に訴えられ、その責任を民事裁判上においてとらされることとなったのです。
その教育関係者らは、決めたのは両親らであって自分らには責任がないかの如く主張していたようですが、何のことはない。彼らの一部は、かの坂井園長から「接待」まで受けていたというではないか。それで、かの少年の「退園」を先送りにしようとしていた矢先に、こんな事件が起きたってわけや。
それだけやっておいて、いざとなったら、本人とその保護者が主体的に決めたのだから自分らは責任がないとか何とか、ホザいて逃げようとした。
散々わかりもしないのに分かった口を利いて、後の祭りになって、
「そんな制度は知らなかった」
で逃げおおせようとした人物が私の周りにもいましたが、それと同じ手合よ。
愛情があれば、ためを思えば、それで免罪符になるとでも言わんばかりの手合の、こういうときの逃げ口上の典型みたいなものだったな。
昭和末期には、そんなボンクラな大人、結構、いたねぇ。
ま、今ほど「情報」というものがいきわたっていない時代だったから仕方ないと言えばそうかもしれないが、それを免罪符にする気はねえよ。
当時不登校は一種の「さぼり」か何かとみられていて、何があっても学校に来させるのがよいという風潮がありました。それは病気であるから「治療」せねばならんという考えもありました。その間隙をぬって、かの「戸塚ヨットスクール」もそうですが、民間の私塾のような組織が、時代のあだ花よろしく咲いた時期でもあります。
この「風の子学園」のような、素人がさらに劣化した内容のシロモノでさえ、この世に出現してしまったのは、この社会全体の不幸であったと言っても、過言でも何でもなかろう。しまいには、尊い命を奪ってしまうまでになったのだから。
あれからすでに、30年以上が経過しました。
時として、ネット上や新聞等のマスコミにこの事件のことが紹介されることも、あるにはあります。
かくいうこの私の文章も、その一つではないかと言われれば、そのとおりです。
当時、かの少年を風の子学園に送り込んだ教師や教育関係者らは、もうすでに定年を迎えた者がほとんど。今や年金暮らしで悠々自適な人もおられれば、すでに亡くなられた方もいらっしゃることでしょう。あるいは、介護を受けている人も、認知症になった人も、いらっしゃるでしょう。
今どき、ネット環境を十分に使いこなせない人たちは「情弱(=情報弱者)」と軽蔑的なレッテルを貼られています。
そんな手合いが多いのが、この世代でもあります。
裁判が終わった後会見する姫路市教育長(当時)の新聞か週刊誌の記事に掲載された写真を見たが、あのような・・・面、昭和のあの頃の大人に、多かったな。
当時かの少年に関わった教職員らは、今、どこで、どうしているのだろうか?
彼(彼女)らは、この事件のことを覚えているのだろうか?
覚えているとして、そのことを、自分なりにどのように「総括」したのだろうか?
ま、今さらそいつらがどこで何していようが、わしの知ったことでもないがな。
~ これ以上やると罵倒にしかならんから、以下、自主規制します。押忍!
私個人としては、当時の教育関係者、特に自分自身が出会ったその筋の方々のすべてが悪かったなどと思ってはいない。
むしろ、お世話になったというべき人も、たくさんおられるからね。
だが、それをもって、すべてが「免罪符」にできるわけでは、ない。
個々の教師の責任というだけで済まないものがそこにあることを、決して、見逃してはいけない。なにより、そのようなことを、知らず知らずのうちにしてしまう大人になってはいけない。それだけは、言葉を最大限強くして申し上げておきたい。
これが、当時20歳前後の青年だった私からの、彼(彼女)らへの手向けである。
~ これはもちろん、私がお世話になった個々の先生方に向けたものでは一切ない。
最後に、ひとこと。
世話になったな。ありがとさん、よ!
以上。
押忍!
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