Chapter1【ドラゴンとの出会い】

第一羽【探し物】

 深夜、なぜか目が覚め、ベランダに出て星の広がる空を見上げると....


 琥珀色にきらめく虎のような目をした赤黒いドラゴンが、所狭しと翼を広げた姿が映る


「なんだこれ.........」


 思わず声が漏れた口はしばらく閉じることなく、ドラゴンが空を包み込むような翼を曲げて羽ばたいて。


 その際に生じた風を受け、後ろの壁に軽くぶつかった後でようやく塞がり、今度は興奮が抑えきれずに口を開く。


「す、すげぇ!」


 高校二年生の青年には刺激が強すぎたようで、青年は朝までずっと高揚感に包まれ寝ることが出来ず、ずっと空を見上げ起きていた


 朝になってようやく冷静さを取り戻し、寝れなかったことを後悔しつつもTwittэrを開くと、自分の見た光景が嘘ではないと確信する。


 「ドラゴン」がトレンド入りしているからだ。


 いくつかの投稿された写真にはブレていてはっきりと確認することはできないが、確かに自分が目視したドラゴンが写っている。


 自分は歴史に残る事件を体験しているのかもしれない。


 そう思うとまた身体中に刺激が走り、高揚感に包まれ、なにかをしたくなってきた


 土曜の朝のリビングに行くと、母親がソファーの上に座っており、ドアを開けた音に反応してこちらを見てきて、目が合い


「あら、今日は早いのね」


 と言ってきた


「ああ!昨日の深夜にさ!俺ドラゴンを見たんだ!多分一軒家より大きかったよ!」


「あー、今ニュースでやってるわよ」


 そう言われてテレビを見ると、土曜しか放送していない番組でその話題が扱われている。


『このことに対し、専門家は。


 えー.....まぁ少し信じられないですねぇ、あれだけ大きな生物がいきなり現れて、いきなり消えたんですから!まぁ誰かのイタズラか....まぁ、えー、ホロ..グラムかなと、そう思っております。..........』


 この先の話は聞かずに


「ここら辺にいるかもしれないし、俺探してくる!」


 と言うと母は


「はいはい、変なところ行かないでね。あ、朝ごはんどうする?」


「パン!」


「はいはい、ちょっと待ってなさい」


 そういった数分後に、母が持ってきたハムとマヨネーズを乗せたパンを頬張り、食べ終わるとすぐに出かけた。


「行ってきます!」


 うーん、どこに行けば出会えるかな〜、やっぱ山の中に隠れているのかな〜、行ってみるか!


 マンションの駐輪場まで階段を駆け降りて、自分の自転車にまたがり、二駅分ぐらい離れた山まで駆け抜けていく。

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