小さくて元気で明るい私の恋人

ネルシア

小さくて元気で明るい私の恋人

「ねぇテストで100点取ったよ。」


「当たり前でしょ、そんなの。」


「そうだね。」


どうにも本番に弱く、幼稚園、小学、中学と受験に失敗してしまった。

公立に次ぐ、公立。

だからテストで100点を取るのは当たり前。

そう、当たり前なのだ。


でも、親が冷たくてもいい。

だって私には素敵な恋人がいるのだから。


自室でスマホを操作し、私の恋人に送る。


「100点取ったよ。」


ものの数秒で返事が返ってくる。


「やば!!!うちなんて13点だよぉぉぉぉ。」


泣き顔が浮かんでクスリと笑みがこぼれる。


「やーちゃんまじ頭いいよね。その脳みそよこせ。」


「勉強すればとれるよ。」


「はい、でたー、天才の言い訳。まじもうむかつく。」


「ごめんって。」


「明日キスしてくれないと許さない。」


んああああああ!!!!!

可愛いいいいいいいいい!!!!!!

落ち着け、落ち着け私。


「わかった。たくさんするね。おやすみ。」


「約束だよ?おやすみ。」


次の日、

いつも通り1人で通学路を行き、

いつも通り1人で学校に着き、

いつも通り1人でクラスに入る。


そう、ぼっちなのだ。

まぁ、人見知りってのもあるし、話すといっても何話していいかわかんないし。

でも、テストの点数はいい。

それが災いして誰も話しかけてこない。

まぁ、こんな私にはお似合いなんだけどさ。

でも、私の恋人のよーちゃんだけは違う。


「おっはよ~えぶりばでぃ!!」


「ちょ、よーちゃん何それww」

「今日の朝占いじゃない?w」


とたった一言でこのクラスの湧き上がりよう。

はぁ、私の天使・・・。

でも・・・。

あなたたちはほかの友達がいるでしょう?

私にはよーちゃんしかいないの。

ねぇ、早く離れてよ。


「はいはい、みんなどいて~。」


よーちゃんがふざけながら群衆をかき分けて私のところに近づいてくる。


「おっはよ、やーちゃん!!」


「うん、おはよ。」


すると、ほっぺを突き出してくる。


「ん!!」


ふふ、と何を求められてるのか理解し、即座に行動に移す。


横向きになってたのを片手で正面に向け、唇にキスする。


「昨日はごめんね?」


くらすが冷やかしと茶化すような歓声が上がる。

でも、された本人は嬉しさとれしさと恥ずかしさで私と目が合わせられないらしい。

その表情も可愛い。


「あ、あのさぁ・・・突然はダメだって・・・。」


もじもじしながら返答が来るが気には留めない。


放課後、またよーちゃんの周りに人だかりができる。


「みんな大好き!!」


あー、でたよ、よーちゃんの悪い癖。

みんな大好きっこ。

いや、いいんだけどね?

彼女としては・・・やきもきするわけでありまして、ええ。

しかもあんなにキャーキャー言いながらほかの女子と抱き合うなんてそろそろ我慢できなくてバーサークしそうになるわけで。


「そんな好きなら付き合っちゃう???www」


よーちゃんの友達が冗談で発言する。

これも笑いながら返すんだろうなと思って聞き耳を立ててると、

今までのふざけた雰囲気が一瞬で消え去る。


「は?私の彼女はやーちゃんだから。」


真顔でさらっとしかも怒りのこもった口調で言うなんて・・・。

かっこかわいい・・・。

ずるい・・・。

微妙な雰囲気になり、やーちゃんの友達がばらばらと離れていく。


「え?え?みんなどうしたん?」


あー、原因分かってないですねぇ。

あほですねぇ、この子は・・・。


「ねー、みんな離れてくんだけど・・・。寂しい。」


「大丈夫、私はずっとそばにいるよ。」


「やーちゃーん・・・。」


抱き着いてほっぺをすりすりしてくる。

可愛いー。

我慢できねー。


「ねぇ、今日家行ってもいい?」


「いいよー?」


これが合図。

私からよーちゃんへの。


「お邪魔しますっと。」


「はいはい、あっがってってまだはやいでしょ。」


玄関で靴も脱がずによーちゃんの後ろから抱きしめ思いっきり匂いを嗅ぐ。

よーちゃんは片親で仕事も遅いからこそできることだ。


「ほんといい匂い。」


「・・・ん。」


くるりとよーちゃんが私に向き直り、キスをせがむ。

きゅんきゅんしながらその唇を重ねて、舐めまわして、唾液を流し込む。


「やーちゃん好き・・・。」


「私も。」


こうした甘々ま生活はしばらく続きそうです。


-Fin-

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小さくて元気で明るい私の恋人 ネルシア @rurine

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