別れ、約束

猫たちは次々と崩壊するフロアを昇り、屋上階段まで辿り着いた。


「ここにハタダイさんもいるはずニャ」


「私も行きます!」


アサギが語気を強めて申し出た。


「駄目ニャ、足手まといニャ」




「頑張んなよ、モカ」


そう言ってアサギを抱きしめると、ヤタニの体は透明になり、やがて消え去った。


「キーコ・・・」



「あの・・・!私●●●さんのこと・・・・!」


「・・・・すまないニャ」


「・・・・好きなんですか?」


「・・・・わからないニャ」


「・・・・フラれちゃったか」


「・・・・多分、これも俺の『未練』だニャ」


白い肌と赤い目で涙を流しながら、アサギの体が透明になっていった。


「きっとまた『外』で会えるニャ」


「そしたら忘れちゃうのかな・・・・?でも、また告白しますよ!諦めませんから!」


「ありがとう、アサギさん・・・・」


猫は涙を浮かべた。こんな自分に愛をくれる人が、世界には確かに存在するのだ。



「カチョウさん、アサギさんを頼みますニャ」


「任せてくれ、世話をかけたな」


猫は振り向かずに屋上へと走り出した。



「アサギ・・・俺さ、お前のこと・・・・」


そう言うと、カチョウの体も消え始めた。

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