仮面の迷宮
デラシネ
ペルソナ
「う・・・・」
目を覚ますと、非常灯の明かりが頼りなさげに周囲を照らしていた。
ということは、非常電源はまだ生きているようだ。
崩れ落ちた天井の石膏ボードと照明器具、倒れた什器やトルソーなどの瓦礫を確認できる。
閉店後だったので、既に売り場に客はいない。
誰も残業していなかったのだろうか?同じフロアには店員もいなかった。
「ヤマさん!いますか!?」
「どうなってる?・・・いや、そんなことより・・・」
こんな緊急事態に何を考えているのだろうか?
それでも脳裏に過ったのは『あの人』のことだった。
「とにかく、向かうしか・・・・」
瓦礫で塞がった通路を確認すると、『あの人』のいる売り場までの最短距離を頭の中で描いた。
「こういう時、設備員ってのは便利だニャ」
何度も増改築や再開発を重ね、迷路のように複雑化した館内を知り尽くしている。
「急ぐニャ・・・・」
同僚のことも、館内に残っていた人も心配だ。
しかし今は、『あの人』の無事を確認しなければ気が気でない。
早く行かなければ・・・・しかし、一体何が起こった?
・・・・揺れてもいないし、火災報知器もスプリンクラーも作動していない・・・・。
何か、嫌な予感がする・・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます