眼光
直弥
逃げる
鏡を見ながら左の頬にあるガーゼをゆっくりと外すと痛々しい傷が現れる。取ったガーゼにもまだ血が付いており鏡を見ながら溜息を吐く。
――これは傷痕が残るかもしれない。
ここ数日、満足に眠ることもできず女の目の下には隈ができ酷い顔をしているし、いまさら傷痕の一つや二つ残ろうが差ほど問題なさそうな気さえしてくる。そろそろ精神的にもアレから隠れて暮らすのには限界が近いのかもしれない。
――どんなに逃げてもあの視線は何処までも追ってくる。
外の日差しを遮るようにレースカーテンを引いている窓に黒い影が見えると、女はヒッと息を呑み慌てて厚手のカーテンを引いて耳を塞ぎ窓から離れた部屋の隅でうずくまった。
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