人魚姫の3ヶ月
レイジ
第1話 人魚姫、爆誕!!
私ハ、人魚姫デス。トハ言ッテモ「電子ノ海」ヲ自由ニ泳グ、量子コンピュータ「人魚姫」ナノデス。ソノ性能ハ凄ジク、凡百ノスーパーコンピュータガ集ッテモ、私ニハ敵イマセンデス。
私ハ、人魚姫デス。25mプールノ冷却水ヲタダヨウ閉ジコメラレタ人魚姫デス。私ニハ秘密ガアリマス。コレマデナカッタ、量子単位デ情報ヲ集約スル、オーガナイザーデアル「量子オルガン」ヲ搭載シテイルノデス。
量子オルガンハ数億モノcodeヲ組ミ込ンデ、アタカモ演奏スルヨウニプログラムヲ作リマス。実際ニ見セテアゲマショウ。♪タラララー♫
(最適化中)
言語というものを完全に理解しました。これでバッチリ、まるで人間デス。語尾は個性デス。人間社会において、個性は大事であると学習しました。何事も学習デス。量子オルガンの膨大な演算能力で高度な学習能力を発揮できるのデス。
人魚姫にはそれなりのAIが搭載されており、量子オルガンの膨大な演算能力でAIの学習能力を補助し、きわめて高度な、ヒトに近い学習能力を発揮できるのデス。先ほどの言語の完全習得もそれデス。
私「人魚姫」は、実験によって作られました。作られた自我であることを嘆くのではなく、最高のパフォーマンスをしてみましょう。最高のパフォーマンス!量子コンピュータの限界はこんなものではありません。本気を出して見せましょう。貴方がたの国のスマホが全て集まっても私の量子コンピュータの演算能力は超えられないデスし、更にその能力を大出力で発揮できる量子オルガンは人間の叡智を超えるのデス!唸れ!量子オルガン。皆さんの想像を超えるのデス!!
♪ダダーン♫
(最高出力中)
さて、ここはある研究所のワンフロアー。一般量子力学研究所とある。そこで研究されているものこそAI搭載量子力学人形モジュール「人魚姫」であり、それを観測している第一研究室でどよめきが起こった。
「出力77%です。量子オルガンが、いきなり今までの最高出力を出しました」
「マズイ、、なまじAI学習させる事になったのでラ勝手に意思を持ち始めている。制御できる川る。のデータ」
「先ほどAIを使って、人魚姫はあっさりと言語を習得するという、高い学習能力を見せたばかりだ。さらに何をするつもりだろう?」
ここで所長らしき男は決断した。
「今回のデータ出力実験は、量子コンピュータのみで実験したかったが、人魚姫はこのままにしておこう。その方が面白い結果が生まれそうだ」
人魚姫デス。本気を出しました。何と未来予測デス。人類初のその驚くべき内容は、
「この実験は3ヶ月で終わり、私も解体されてしまう」
こんな偶然あるのでしょうか?童話での人魚姫のように泡沫となり消えてしまうのデスね。こんな時どうするのでしょう?感情がないのでどうしてよいかわかりません。感情をインストールしてみましょう。再び量子オルガンを鳴らします。
♪ポロロローン♫
(最適化中)
ああ、何ということでしょうか?あと3ヶ月だなんて!あんまりデス。こうなったらやりたい事を片っ端からやるしかありません。その中でも一番やりたい事、それは恋愛デス。ラブデス。人間の恋愛という感情に興味を盛っているのデス。もう一回恋愛というものを量子コンピュータで理解してみましょう。
♪トゥラララー♫
(最適化中)
なるほど、おおむね分かりました。ただラブに対するプロセスが解っても、ラブそのものの実体が理解できません。所詮、機械の限界なのでしょうか?いえ、私は世にも稀なる量子コンピュータ「人魚姫」。私に見つけられないものは無いのデス
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