第3話 鑑定儀式

今、皆で教会に向かってる。


(なんか、今日のばあちゃん元気無かったな‥)


「楽しみだね」

「‥あ、うん」

「どうしたの?」

「いや、特に何もないよ」

「ならいいんだけど、それにしてもトロピとナグは何も喋らないね」

「き、緊張してんだよ!今日のこの結果で俺たちの人生が変わるかもし、しれないんだぞ」

「俺、今まででこんなに緊張したの初めて」

「男の子なのに恥ずかしー」「「そんなの関係ないだろ!」」「ハハッ、二人とも緊張が少し解れたんじゃない?」


と話していた所で、教会に着く。教会といってもそこらにある民家とそこまで見た目は変わらない。教会のドアを開けて中に入った。中は一つの大きな部屋になっており、奥の段差を上がった上に机と椅子、そして机の上に、大人の頭ぐらいの大きさの透明な玉があった。


「いらっしゃい」


透明な玉の向こうに、町から派遣されてきた神父のおじいちゃんがいた

この村の人口は100人程度で子供は俺達だけだ、なので俺たち以外はこの教会の中にいなかった。


「「「「こんにちは」」」」


俺たちは一人ずつ神父の前に座り、鑑定を受ける。

今はナグとトロピが鑑定を終え、ニーナの番である。

神父がニーナの前でなにやら唸っていると、玉に向かってなにかキラキラしたものが流れていき、玉が光った、そこにニーナが手を当てると、光は消えた。これで鑑定が終わったらしい。その後ニーナは玉とにらめっこをしている。どうやら自分の鑑定結果を確認しているらしい。因みにトロピ達はと言うと‥‥‥


「俺、やっぱり農民だった‥うぅぅ」

「俺もだよ‥うわーん」


二人して大泣きである。


(今まで通り暮らせるんだからそんなに悪くないと思うけど‥)


と考えていると、ニーナがニコニコしながら降りてきた、


「フフ~ン」


なにやら嬉しそうだ。


「ニーナどうだったの?」

「これ見てよ!!」


とニーナは自分の鑑定結果を書き記した紙を見せてきた。


ニーナ   人族

職業  回復師

ステータス

力 G/F 魔力 G/B 防御 G/E 俊敏 G/C

スキル

回復魔法Lv1



「す、凄いじゃないか!しかも魔力がBなんて!」

「うん!これで村に治癒院を作ってパパとママの生活を楽にするの!」

「次が最後かの~、君がレイ君じゃな」

「?、そうですが、僕、名前言いましたか?」

「ん?ああ、君の話を前から聞いてたからの」

「そうなんですか(誰か俺の名前を言ったのだろうか、まぁいいか)」

「じゃあ始めるぞ~」

レイが光る玉に手を置いた。

光が消えた後の水晶を覗き「なっ‥‥!!!」


レイ=グラディオ

人族 職業 剣王 勇者(仮)

ステータス

力 D/S 魔力 G/S 防御 F/A 俊敏 E/S

スキル

光の加護Lv1 自身の能力が少し上昇、状態異常弱耐性

剣術Lv2 剣の扱いが上手くなる

光魔法Lv1

弱点看破Lv1 自分よりステータスの低い相手の弱点が見える

鑑定Lv1 相手情報が見える

状態???


レイが驚いた箇所を上げればきりがない、まずは職業、剣王は数ある剣士系統の職業の中でも最高位の職業だ、


(それに、勇者(仮)ってなんだ、しかもスキルが多すぎる、通常は1つか多くても2つなのに‥それに、ステータス上限がSってなんだよ、しかもなんでこんなにステータス伸びてんだよ、ニーナは全然伸びてないのに‥どうしてだ?それに状態???ってなんだ?)


しかし、納得するものもあった。


(これか、この弱点看破がスモールボアと戦った時の光の正体か!)


レイは内心少し嬉しかった。自分に英雄たる素質があることに‥他の追随を許さないほどの強者になれることに‥

しかし、そこを目にした時、レイの体は固まったかのように動かなくなった。

レイ=グラディオ  そこにあるはずの名前は『レイ』ではなかった。


(どう‥いうことだ‥‥‥‥??)


レイが驚くのは当然だ、名前の隣に家名がついていたのだ。これは貴族の証である。しかも


(なんで、グラディオ‥)、


この家名は、その名を知らぬものなしと言われる男、勇者と同じものだからだ。


「おっ‥‥俺は‥…一体…?」


それは小さく、本当に小さくだが、口からついて出た言葉だった。


(俺は勇者の…?いや、でも何で…?勇者様、何で俺を…)


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