勇者に捨てられた少年の成り上がり学園無双

リュウガ

第1章 出発

第1話 始まり

この世界は元々、ニ柱の神によって作られたと言う。

彼らは大地を、水を、木々を作り、そして、生命を誕生させた。

初めはほんの小さな生き物が海から生まれ、それらが進化を繰り返し、魚が生まれ、動物が生まれ、そして、我々のような人族、エルフ族、獣人族、ドワーフ族など様々な人類が誕生した。

最初の頃は、

二人の神は繁栄していくこの世界を祝福した。

しかし…


魔王城にて


「グゥ‥‥今代の勇者が‥‥これ程とは‥‥」


叩き上げた鋼のような強靭な筋肉、禍々しい紫色の肌の所々には切り裂かれた痕や業火に焼かれ、爛れた痕。

それを成した勇者達も、あるものは頭から血を流し、あるものは鎧を砕かれ、あるものは体中の骨が折れ、その痛みに耐えながら‥‥


「ハァ‥ハァ‥‥これでようやく‥!!」


グサッ! 魔王の背中に勇者が剣を突き刺した。


「グアアアアアアア!!!」


地面に倒れた魔王の腹部から、溢れんばかりに紫の血が吹き出し、血だまりを形成する。

が、しぶとくも魔王は勇者の足を即座に掴み取り、魔法を発動する。


「なっ!」

「クフッ、クハハハァ‥」

「なにをしたっ!」

「お前に、ハア‥ちょっとした‥‥プレゼントだ、俺はすぐに甦る‥クフフフ‥せいぜいそれまで‥グッ!!」


そこで魔王の体は闇の粒子となって消えた。



「アレン!最後のは大丈夫だったの?」

「イリーティア、わからない、体調に異変は無いが…、取り敢えずメイリア、鑑定を頼めるか?」

「分かったわ」


アレン=グラディオ

人族  職業 勇者

ステータス

力 A/A  魔力 B/B  防御 B/A  俊敏 A/A

スキル

光の加護Lv10 自身の能力を超向上、状態異常無効

剣術Lv8 剣の扱いが上手くなる、自身の能力が小向上

光魔法Lv6



「ふぅ…特に異常は無いわ」


「ならいいんだが‥」


この時アレンは、言い様のない不安を抱いた。


「何も無かったなら良かったじゃない?」

「そうですよアレン!これから平和な世界が訪れるんですから、そんなにしみじみしてたらグラッド達に怒られちゃいますよ」

「あぁそうだな、皆、ありがとう‥帰ろう」

『おおおーー!!!!』


時は流れて

ここはバルウロワ王国

魔王が勇者に討伐されて20年後、ここは勇者が生まれた村、王都から南へ馬車で一月程でグラール領の領都へ着く、さらにそこから馬車で一週間程の所に村がある。名前はドドッコ村、そこに今年で12歳になる少年レイがいた。


コンコン


「レイ、ニーナちゃん達が来てるよ」

「わかった、今行くよ」


アレンは読んでいた書物を閉じる。


「思ってたよりも早いな…。あいつら、家の手伝いはいいのか?」


と呟きながら玄関のドアを開ける。

そこには、近所に住んでいる幼なじみのニーナ、トロ

ピ、ナグの三人がいた。


「皆いるのか?」

「明日は鑑定儀式の日だからよ、今日が四人で集まれる最後の日かもしれないだろ」

「ナグの言う通りだよ!もしも職業が戦闘職だったら、王都の学校に行かなきゃ行けないんだよ!」

「でも、職業って親と同じようなのが出るんだろ?この中に戦闘職の親を持ってるやつなんていねーじゃん」

「確かにそうだけど‥」


そこで不意に後ろから声がかかった。


「レイ、そんな玄関の前で話してないで、いつもの所で遊んでおいで。ご近所にも迷惑かけちゃうでしょ?」

「ごめん、ばあちゃん、行ってくるね」

「行ってらっしゃい、夕御飯の前には帰ってくるんだよ」

「はーい」


村外れの草原に向かう途中


「で、結局今日はなにするの?」

「俺は皆で森に入りたい」

「また言ってんのかよトロピ、森には魔物がいるから駄目って言われてんだろ」

「でもよーナグ、あの森にいるのなんてGランクの弱い魔物だけだって父ちゃん教えてくれたぜ」

「でもよー、森で一体なにすんだよ」

「そりゃもちろん魔物を倒すんだよ!俺は強くなって、いつか勇者みたいに魔王を倒して英雄になるんだ!」

「魔物なんて怖いからやだよー‥..、それにトロピのお父さん達は私たちと同じ農民なんだから、勇者どころか戦闘職にもなれないでしょ?」

「そんなの分かんないだろー!それに、あの勇者様だって農民出身だって聞いたぞ!!」

「確かにそうだけど‥.」

「トロピ、やめろよ、俺たちで魔物に勝てるわけないだろ?、ばあちゃんが、Gランクの魔物ですら大人の農民じゃ勝てないって言ってたんだぞ。ましてや子供の俺たちが勝てるわけないだろ?」

「うるせぇ!だいたい、レイは大人より強いじゃねーかよ!そう考えるとお前、化け物だな!」

「なっ、誰が化け物だと!」

「わー、レイが怒った、ナグ逃げるぞ」

「あはは、化け物だー!」

「あっ!待てコノヤロー!」


ナグとトロピが走って原っぱに駆けていく。

その後ろをニーナとレイは追いかけた。


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