人生は一人称ボクの物語。

三丁目の望月

ピザ

私の家には私以外に誰か住んでいる。

見たことはないけど、絶対そう。

いつも誰かに見られてる気がするのだ。

でも、不思議と不快感はない。

見張られてるというより、

見守られてる感じ。



その人にはつまみ食い癖がある。

半熟ゆで卵、

レンジで温めたハッシュドポテト、

ハンバーグに添えたプチトマト。

ちょっと偏食気味。

中でも特別ピザが好きらしい。

宅配ピザ頼んだのに、

お風呂に入ってるうちになくなってたから。

Lサイズだったのに。

一人で、食べたのかな?

マルゲリータ。バジルは苦手みたいで、

ピザの箱に四枚のぐちゃぐちゃバジルだけ、

入れられて返ってきた。

それが妙に愛おしかった。


だから、

私は今日もピザを頼む。

顔も知らない貴方のために。

Lサイズ、

私も食べたいから二枚。

二枚とも食べられたりして。

それでもいっか。



――すみません、ピザの配達お願いします。


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