好きなってごめんなさいっ!!
赤猫
隅っこガールは今日も隅っこにいるはず…だった
好きな人がいるんです。
でも私こと…
私は教室の隅っこで本を読んでいる根暗な陰キャ、対して私の想い
本で読んだものには王子様と町娘の身分違いの恋もあったが、現実はそうでは無い。
私の物語はきっと好きな人と結ばれず卒業まで残り数ヶ月の時間をいつもと変わらず本を読んで過ごしているに決まっている。
長い髪を三つ編みでまとめて両肩に乗せている姿は一体いつの時代の女の子なのか分からない。
今どきの女の子はオシャレに編み込んだりカールをかけたりしているのに、私は相変わらず三つ編みで変化がない。
髪型とかいじって「なに陰キャが調子乗ってるの」って指さして笑われるのが怖くて変えることができない。
「でさーあいつ本当に腹立つの!」
「何それウケるんだけど」
いつものように静かな図書室で図書委員としての仕事をしていようとしたらこれだ。
私のクラスの陽キャ集団がゲラゲラと勉強道具を広げて楽しくお話をしている。
その中には私の好きな彼もいる。
入口の紙を見ていなのだろうか?一応私語厳禁って書いてあるんだけど。
ほかの利用者さんもいるし私も静かに本を読みたいから迷惑だ。
怖い言いに行かないといけない自分の今の図書委員の立場が憎たらしくて仕方がない。
私は立ち上がって集団の元に行く。
もしここで言って明日からクラス総出でいじめられるとかあったらどうしようって思いながら。
「あの…すみません」
「ん?なに?」
私が声をかけると集団は私に視線を向ける。
やめて…全員で見ないで、心臓痛い。
心の中で十字架を切って私は頑張って笑顔で腹から声を出して言った。
「他に利用されている方も、いらっしゃるので静かにしていただくことは可能でしょうか…?」
あー!言っちゃった!私死んだわ!
はい明日の私死んだ!今までありがとうございました!
頭の中がやけくそになっているのかもうどうにでもなれのテンションになっている。
「あ、ごめんアタシうるさかったかー…ちょっとなんでアンタたち注意してくんなかったの?!迷惑になったでしょうが!」
…へ?
「俺らも楽しくなって気にしてなかったんだよ、ごめんねうるさくしちゃって」
あ、優しい…普通にいい人だった…。
てかヤバい好きな人にごめんねって言わせちゃった、こっちが申し訳なくなるって。
そんな感じで私は命懸けで注意をしに行ったのだが、命を懸ける必要はなく彼らは静かに勉強を再開した。
仕事が終わるまでの1時間読書をしていたが、頭に内容は入ってこなかった。
「あ、司書子ちゃんだ!」
次の日から私は昨日注意した人たちに司書子ちゃんとよく分からないニックネームをつけられた。
新手のいじめなのかこれはと思いながら変なことを言えば殺されると思い会釈をして足早にその場から姿を消した。
しかし相手はクラスメイト、逃げ場なく結局廊下で声をかけられて逃げれても教室では逃走不可能だった。
「司書子ちゃん昨日はごめんね迷惑かけちゃって」
「い、いえ…大丈夫です」
目を合わせるのが怖くて合わせられない。
今目の前にいるのは同性なんですけど私とは全然違う。
髪を後ろに可愛らしいシュシュで束ねた子明るくて笑顔が素敵で愛嬌がある。
そんな彼女の名前は
とても名前通りの子だと私は思った。
「司書子ちゃんって私のことで合ってますよね?」
「そうだよ図書室にいたから司書子ちゃん!可愛いっしょ?」
可愛いかどうかは知らないが面白いネーミングセンスだと思う。
「アタシ、司書子ちゃんと友達になりたいんだよねー」
「とっ、友達?!」
星野さんの友達?私が?舎弟の間違いなのではないだろうか。
純粋に友達になりたいという彼女は変わっている。
「だめかな…?」
しょんぼりした顔をして星野さんは肩を落としている。
や、やめて?その顔罪悪感がすごいんだけど。
「だめではないです、ただ…その、驚いてしまって」
「本当に?!いいの?!じゃあ私たち今日から友達だよ!」
「わ、わっ」
私の両手を掴んでブンブンと上下させる。
肩が外れそうになる勢いだ。
「おーいそれくらいにしとけよ」
「いてっ!…ちょっと何すんのよ!遊馬!」
コツンと後ろから星野さんの頭を小突く。
「女子に暴力振るうとかサイテー、司書子ちゃんこいつにも言ってやってよ」
「え、あ、えっ」
「田辺さん困ってるでしょうが」
「司書子ちゃんが迷惑だって言ったらやめるよ」
「田辺さん言いたいことあったらハッキリ言った方がいいよこいつ筋金入りのアホだからさ」
「アホって失礼だよね!ちょっと!」
昨日あの注意をしなければこんな陰の者が陽の者に挟まれてしまうという構図はできなかったと思う。
だから私は今自分の行動を後悔している。
私の卒業までの残りの時間どうなっちゃうの?!
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