大地の巫女

Rie🌸

第1話 はじまり

古来より神職に従事する巫女は高い霊力を司る。

その力を持って、悪霊や妖怪を浄化して報酬を受け取っていた。


「樹理様~.」

時任渚。金髪の前髪を真ん中に分け、肥大にはひし形の印が浮かぶ16歳の少女である。服装はピンクのポロシャツに半ズボン。ハイソックスに運動靴。

動きやすい服装だ。


彼女の主は公園のベンチに座っていた。


樹里様~と呼ばれて振り向いたの女性は、

《筧樹理。》

紫の髪をボブにまとめ緑の瞳を持つ。

樹の力を操る「通称.大地の巫女。」

淡い水色のノースリーブのシャツに、両腕に数珠を巻き付けている。

紺のスカート。りぼんのついたサンダルを履いている。

23歳。黙っていればかなりの美人だが、無愛想で口も悪い。

 働くより家でゴロゴロが好きなぐーたら巫女だ。


「遅いぞ。渚!それで依頼内容は?」

「はい。

この街の森の奥に奉る神社から悪霊が出るということで、樹里様に徐霊の依頼を。」


「なら、その場所へさっさと行くぞ。」


「樹里様~、樹里様はどうして巫女装束を着なくなったんですか?」

先に歩く樹里の動きがピタリと止まる。

「!!」

 樹里は渚の一言に数年前の苦い思い出がフラッシュバックする。

巫女装束で闘う血だらけの自分の姿ー..


「私には似合わないからだ。」

ポツリと呟く。

 

渚は思わず反論する。

 「そんなことないです!子どもの時に初めて会った樹里様の巫女姿は気高くて、美しくて私の憧れでした。」

 自分の服をぎゅうと掴んでいる。

「渚....」


「それが、どうして今はたまにしか働かないでぐーたら巫女に!!」

 うわわーんと泣き出す始末。

 プチっと怒りマークをつける。

「褒めるのか貶すのかどちらかにしろ。」


 私たちがこれから行く森の奥の神社。


私と樹里様の運命を動かす全てのはじまりの場所になっているとは、この時の私たちには知るよしもなかったー...




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