ひびわれ
蒸し暑い箱の中。
右の背に重心を預け、座面に右のかかとをかける。
だらりと掛けた椅子からは、立ち上がるまで音はせず。
耳から伸びるイヤホンの白。
指先で揺らせば耳奥の音も揺れ。
耳奥に揺れる音は、意味を捉えられる間もなく身のうちから漏れていく。
焼き付ける日差しの下。
地に身を投げ出して、空の、日の重さを感じた。
頭を傾け、耳に地面が届いたら、脳髄に響く遠くの音。
身体に響く、耳を塞ぐ意味なく、押し付けられる音。
逃れようもなく、逃れる意思などなく。
受け止める地など、今はなく。
耳奥に響く音ではもう、欠けた身のうちには残らない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます