あぁ、そういう日

バブみ道日丿宮組

お題:安い独裁者 制限時間:15分

『今回この国の長となりましたー○○です。本日ははじめましてのご挨拶をーー』

 いったいどこから声が出てるというのか、外はうるさくしかない。誰か止めるべきではないあろうか。

 第一にメガホン(マイク)許可は政治家にはされてない。一時期メガホン使用で交通や学業に影響が出たことから、禁止されてるのだ。

 だから、与党であろうと、野党であろうと、市長であろうと、誰もメガホンは使用できないはずだ。

 だというのに、部屋の中まで声が聞こえてくる。

 夕飯時、一番家族が団らんとする時間になんていう邪魔だろうか。

 カーテンをあけ、マンションの外を覗く。

 選挙カーは見えなかった。

 声は続く。

 どう考えてもメガホンを使ってるようなボリュームだ。

 家を出て、マンションの屋上に向かう。

 360度見渡したが、それらしいのは見つからない。

 見えるのは、1隻のヘリコプター。

「……まさかね?」

 かつての独裁者はヘリから、狙撃をして批判者を殺した。今でも犯罪者が出れば、ヘリから狙撃される。だからこそ、ヘリコプターは忌み嫌われてる。

 ヘリコプターを見つければ、すなわち誰かが死ぬということ。

 報道ヘリなんてもは存在しない。あるのは国が使ってるもの。

 つまり、それはあのヘリが国が使用してるということ。

『門限は19時とします。それ以上の学業、仕事は犯罪とみなします』

 とんでもないことをいってる。

 夜働いてる人はどうなってしまうのか。

『夜の運営は国がします。国民は朝と昼を楽しんでください。夜は、私のものです』

 耳を劈くような音がした。

 これは……射撃音だ。

 腕時計を見る。時刻は19時を過ぎてる。

「やば」

 いけないと思い、すぐに家に戻った。幸いなことに撃たれることはなかった。だけど、銃声は止まない。問答無用で殺していってる。

 リビングのテレビをつけると、狙撃を指示してる新しい長が映ってた。メガホンでいってるようなことがテロップとして流れてる。

 ピンク色の髪の毛をした怪しいおっさんだった。どう見ても不審者だ。

「……」

 メッセージがスマホにきた。

 父と母からだった。

 今日は帰れないから、なんとか食べてほしいとのことだ。

 外に出れば狙撃される。

 そうであるならば、建物からでなければいい。

 それもおそらく今日ぐらいなものだろう。

 あとは国の使いがやってきて、生命を奪う。

 ヘリは若干早いだけ。

「……はぁ」

 めんどくさいことになりそうだ。

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あぁ、そういう日 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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