卵は順調に成長している。だって拾った時より大きくなってるから。

ちょっとずつちょっとずつ大きくなって、もう枝が限界っていって折れそうなくらいだった。

結局枝は折れたけど卵はころん、と枝からとれて机の上に転がってた。いつのまにか卵の周りは固い殻みたいになっていた。

それからは卵が割れないように、やわらかいバスタオルにくるんで大事にした。こういう固い卵は大抵温めたら生まれてくると思う。

卵は前よりちょっと大きくなったから、ついに家族みんなにばれた。

お父さんとお母さんは「あれはなんの卵なの」とか「はやく捨てておいで」とか色々言ってたけど、ぼくはいうことを聞かない。

だってぼくは知ってるんだ。ぼくが昔、犬を飼いたいって言った時、お母さんとお父さんは「お前に世話はできないでしょう」「どうせすぐ飽きるに決まってる」って言っていた。

大方、命を請け負うにはぼくは幼すぎると思っているんだろう。だけど、ぼくはちゃんと愛情をこめてお世話できるって証明してみせるよ。そうしたら、ひょっとすれば犬を飼ってもいいってお母さんとお父さんは言ってくれるかもしれない。

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