第2話 難民の死神少女

唐突だが、神の話をしよう。


この世界には64柱の神、そして58の国が存在する。国々は神の名前を冠し、神々は子供たち…人の信仰を糧に生きているのだ。


では、国と信仰を無くした神はどうなるか?答えは簡単。死ぬ。


そして今、他の神々や国から離れた遠い島国に、私と、もう1柱。国を失い、ゆっくりと死を迎えそうな死神がいた。名をメソレム。今だ存命なのは、信仰する信者が僅か残っているから。


そんな彼女は死神と名乗っているが本質は命の神。死んだ子供の魂を回収し、輪廻転生の輪に放り込んではまた新しい身体の元へ導く。


そしてこの仕事をこなせる死神は、もう彼女しかいない。何故って死神はあと2人、そのうちの1人は輪廻転生のシステムなどの管理で忙しいのだ。つまり彼女が消えれば世界中で行先を失った魂がうようよする事になる。


まぁ正直なことを言えば、私はどうでもいいと思っている。いやまあ私も農業を含めた人の生きる環境を守り、太陽の光でもって世界を温める太陽神だから、無関係では無いのだけど。


この世界の子供たちには、自分たちの信じる神がいるなら、強く願えば神を生み出す力もある。だから、最悪神が天啓を与えたり神災を起こしてやれば新しい神を生み出せるが、そんな事をすれば最悪また大戦争や大規模な大量死が起きてしまう。だから私も、そしてもちろん当事者の彼女も新しい信者を求めて頑張っているのだ。


さて、ここまで読んだ読者諸君はこの世界がどうなっているのか気になる頃合いだろう。え?気になってない?うるせえ聞け。


この世界には元々1柱の創造神がいた。その神は、火、水、土の神を作り、大地と命の芽吹く世界を作った。その後、生命いのちを司る光の神、死を司る闇の神の2柱を作り、子供たちを作った。その後は闇の神を除いた5柱を中心にした唯一の宗教を作り、人々の生活が安定した後、隠居した。その時に光の神は残り、子供たちに神を作る力を与え、一方闇の神は1人で地上とあの世の反復横跳びを頑張っていた。


そして、世界にたくさんの神々が生まれた頃、子供たちは戦争を繰り返すことになった。言葉や文化は、細かい差はあれどほぼ同じ。資源や土地も同じなのに戦争をした理由は、神々がけしかけたから。


そして、例の神々の大戦争が始まった。子供たちによって、正確な神話として世界中にあるこの話は、65の国となるまで続き、その時に海を囲んでいた大地は、海に囲まれるようになってしまった。


ちなみに私は元光の神で、大戦争の後に独立した遠い島国で太陽神をやらせてもらっている。


その後はみんなご存知の通り、人々は平和に、でもたまに小競り合いをしながら生きている。


そんな世界では、沢山の国や人がいて、神々は子供たちを見るのが大好き。だから、私たちは1年に1度あって、集会をして、子供の自慢をするのだ。


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