第4話 お勉強
頼んでみるもんだなぁ……
片付けを終えたミレナさんに教師を頼んだら案外すんなりと了承してもらえた。
ルーンファンタジーのサイドストーリーではミレナはこのショーワルをかなり毛嫌いしていたのでてっきり断られるかと思ったのだが……
ショーワルってストーリーの外で一体何をしていたんだ?
こんな良い子に嫌われるとか正直救いようがなくないか?
いや、それをどうにかするのが教師たる俺の役目か。
俺は机に向かって椅子に座るのだが、椅子の高さ的に足が地面につかずブラブラと揺らしながらミレナさんの様子を伺った。
「それではショーワル様、本日は記念すべきショーワル様初お勉強記念日ですのでまずは簡単な言語の読み書きから始めたく思います」
「は、はい」
前世では教える立場だったが、教わる立場というのも中々どうして嫌いではない。
いつの間にかメガネを装備したミレナさんは五十音表のような一覧を机に置くと丁寧に読みを教えてくれる。
何故俺が自然にこの世界の言語を話せているのかは疑問だが、子供特有の頭の柔らかさなのかショーワルの地頭が良いのか、スポンジが水を吸うようにスッと頭に入ってくる。
「えっと……書き順はこうですか?」
「素晴らしいです。ショーワル様はお勉強がお得意なのですね」
「え?そうですか?へへっ」
ただただ教わるままに発音しながら文字を書いているだけなのだが、悪い気はしない。
そうそう、本来勉強と言うのは楽しいものなんだよな〜……ガキどもにもそれをわからせてやれればそれ以上の事はないのだが。
勉強が嫌いなガキどもの根底にあるのは勉強に対する苦手意識だ。
ショーワルもそうだったのかもしれないが、それさえ取り払ってしまえば何と言うことはない。
それにしても精神年齢で見れば一回り以上年下の子に勉強を教わって褒められるのはなんだか癖になりそうだ。
頑張ろう。
「ミレナさん、ミレナさん!!どうですか?見て下さい!!」
「……正直驚きました。ここまで吸収が早いとは」
「うへへへへ」
「──ッ!?失礼しました」
ミレナさんは俺を褒めながら頭を撫でてくれていたのだが、主従関係を思い出したのかその手をスッと引いてしまう。
何となくその暖かさが名残惜しくミレナさんを見上げると再度恐る恐る頭を撫でてくれる。
うむ、役得役得。
ミレナさんの撫で撫でにより俄然やる気の湧いた俺はその後も出題される問題の悉くを解き荒らした。
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