政治家・黒井崇平

第1話

『山手線の車内で女子大生にわいせつな行為をしたとして清く正しく美しくを掲げるピンクスーツ姿で女装の民自党議員、有栖川玲音容疑者が逮捕されました。警視庁の取調べに対し、「パクツイと人の悪口にしか芸のないあの女のどこに魅力を感じるのさ?」

などと容疑を否認している模様です』


「……」


『なお、被害者の女子大生は精神的ショックからか、いまだ意識不明の重体とのことで……』


「…………」


『この日、国会では与野党の幹部が集まり、緊急の対策会議が開かれています』


「……………………」


『えー、ただいま入った情報によりますと、有栖川議員は先ほど衆院本会議にて議員辞職の意向を表明したということでありまして……』


「……」


『それでは、次のニュースです』


「……」

―――

「ふぅん……。なかなか面白いことになっているじゃないか」


テレビの画面を見つめながら、一人の男が呟いた。

その男は、まるでファッション雑誌のモデルのようにすらりと背が高く、整った顔立ちをしていた。

男の名は黒井崇平。

日本に住む者なら誰でも知っている超有名アイドル商法や違法ダウンロード刑罰化法案成立にも関与していたとされる大物政治家だ。


「まあ、これで少しは私の計画も楽になるだろう」


黒井はそう言うと、目の前にあったワイングラスを手に取り、優雅に飲み始めた。


「さて、私にはもう一つ仕事が残っているのだが……」


黒井はテレビを切ると

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