第112話 知らないところで店長の好感度が上がってるようです。
前回のあらすじっ!
俺のせいで現在、アウトレットにいます。そして、リュー様のコスプレをした人を探している途中です。以上っ!
「まずは、コスプレの服を売ってる店に行きます!」
「えぇ……」
さっそくやる気をなくす俺。
「おー!ウチは大賛成だね!一回、例の店長さんに会ってみたかったんだよ!」
「私も先週の土曜日から会ってないから、会ってみたいなー!」
知らないところで店長の好感度が上がってるようです。
「なぁ、俺、その店に行きたくないんだけど……」
「ダメです!私が許しません!汐留さんも私たちについてきてリュー様を探します!」
「……………はい」
(こうなった火口さんは手がつけられないからなぁ。大人しくついて行くかぁ。どうか店長に会いませんように!)
そう思いながら3人の後をついて行った。
はい、やってきましたコスプレ屋。2日ぶりです。
(ここ最近、この店訪れてばっかりだなぁ……)
そう思ったため、振り返ってみる。
(えーっと、凪と一緒に来たところから始まり、理央、舞、美羽、火口さんとそれぞれ来て現在か……。一緒に来てる女の子が毎回違うので、そろそろ店員から通報されそうだな)
店に入ってしまうと、店長に出会い、リュー様関係で何かお願いされそうなので、会わないよう慎重に動く。
ちなみに、入店せず、近くのベンチで座ってたら、火口さんに無理やり店の前まで連れてこられました。
「へー、この店初めて来るけど、かわいい服がいっぱい置いてあるね!」
「そうだよね!あっ!これなんか先島さんに似合うと思うよ!?」
「えぇ!ウチにはそんなフリフリした服は似合わないよー!」
女子ならではのトークをする理央と先島さん。
そのトークを邪魔するのは申し訳ないが、気になったことがあったため2人に聞く。
「なぁ、火口さんはどこに行ったんだ?」
(俺が店の前で気合を入れている間にいなくなってたんだよなぁ)
「それなら、ゆきっちはあそこにいるよ」
そう言って、先島さんがレジの近くを指す。
指している方を見てみると、火口さんが店長と話していた。
(さっそくリュー様探しを始めてるなぁ。てか、店長が火口さんの勢いに少し引いてる気がする……。火口さんの様子は置いといて、店長の位置を確認できたのは大きい!あとは店長の動きを常にチェックして、視界に入らないように動くだけ!)
そんなことを思っていると、店長がこちらを向く。
俺は忍者のような動きで服を上手く使い、店長の視界から消える。
「ふぅ、危なかった。ギリギリ店長には見つからなかっただろう」
(急にコッチを向くからビックリしたじゃないか!)
少しの間、服で視界に入らないよう身を隠す。
しばらく隠れていると…
「そろそろ店長の場所を確認するか。もしかしたら火口さんとの会話が終わって場所を移動している可能性はあるからな」
「そうですね、いつまでもここに隠れているわけにもいきませんので」
「あぁ、その通りだ」
俺は服の隙間を作り、店長と火口さんが話していた場所を覗き見る。
「あれ!?店長がいない!どこに行った!相変わらずの瞬間移動だな!」
「そんなに褒めなくてもいいですよ〜」
「褒めてねぇ……よ?」
(あれ?なんか隣から店長の声が聞こえた気がしたんだが……)
俺は恐る恐る声のした方を向く。
そこには笑顔の店長がいた。
「なんで隣にいるんだよ!」
「いや〜、汐留さんからの熱い視線を感じたので、シャイボーイには私からお会いした方がいいかなと」
「余計なお世話だ!しかも、熱い視線を送ってねぇ!」
「あれ?私に熱い視線を送ってたわけではないんですね。じゃあ、服を使ってコソコソと隠れて何してたんですか?」
「えーっと……………」
(やべぇ、なにも言い訳が出てこねぇ!)
「あ、もしもし、警察ですか?ここに陰から女の子を観察してニヤニヤしている男の子がいるのですが……」
「ちょっと待て!」
「なんですか?汐留さん。今、警察と電話中なので後にしてください」
「後にしたら俺、捕まっちゃうから!」
「仕方ないですね」
そう言ってスマホをポケットに入れる店長。
「じゃあ、服を使って隠れて何をしてたんですか?」
(くっ!この状況はマズイ!なんも良き言い訳が出てこねぇ!)
俺の頭では良き言い訳を思いつかないため、正直に話す。
「じ、実は店長を眺めてたんだよ。理由は……」
「えっ!やっぱり私をコソコソと見てたんですね!実は私のことが好きとかですか!?」
「最後まで俺の話を聞けよ!」
(なんでそうなるんだよ!)
「あ、ちなみに、私は今、彼氏がいません!告白するなら今しかないですよ!?」
「だから最後まで話を聞けよ!」
(ホント、俺の話を聞いてくれないよな!?)
俺は本気でそう思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます