第111話 本気でそう思ったんじゃないかな?……バカだから

前回のあらすじっ!

 俺は今日こそは家でゴロゴロする予定でしたが、できませんでした(泣)以上っ!




 俺は理央と火口さん、先島さんの3人と一緒に帰ることを決める。そして、寄り道せずに帰ることを提案したが……


「なぁ、理央に先島さん。俺、聞きたいことがあるんだけど」


「なにかな?まぁ、聞かなくても言いたいことはわかってるけど………」


「うん、ウチもわかってるけど、一応聞くよ……」


「なんで、俺たちはアウトレットにいるんだよ!」


「あ、あははは……」


「それはね………全て汐留君が悪い!」


「うん、そう言われると思ったよ……」


 現在、俺たちは、なぜかアウトレットにいる……。俺のせいで……。




 時は少し遡り、場所は教室。


「はぁ、たしかに俺が悪かったからな。ただし、今日は寄り道せずに帰るぞ」


「そうこなくっちゃ!じゃ、みんなで帰ろー!」


 理央がみんなに声をかけると…


「あ、あの……きょ、今日もアウトレットに行きませんか?」


「「「…………………」」」


 一斉に黙る3人。


「はーい、集合ー!」


 先島さんの呼びかけに俺と理央が集まる。ちなみに火口さんも集合しようとしたが、先島さんから待機命令が出たため、現在首を傾げている。


「ねぇ、これ、絶対リュー様探しのために、アウトレットに行く予定だと思うんだけど……」


「うん、私もそう思うよ。今日、凛くんたちと仲良く遊ぶ予定だったけど、火口さんのペースでアウトレットに行くと、疲れるだけになりそうだから、全力で回避しないと!」


「だよなぁ。これ、どうすればアウトレットに行かない方向になると思う?」


 俺は2人に聞いてみるが…


「うーん……正直なんて言えば諦めてくれるのかが、全くわからないなぁ……」


「ウチもなんだよ……。どの言葉でスイッチが入るか検討もつかない」


「……………え、詰んだ?」


「ギリ詰んでないはずだよ?まだ、ギア2にはなってないからね」


「なんで唐突なるワン○ースネタ!?しかも、あのテンション上がってる火口さんでギア2なの!?じゃあ、ギア3とかなったらどーなってんの!?」


「えーっと……ゴムの力で手が伸びるとかかな?」


「人間の域を超えとるわ!」


「そ、そんなことないよ!?だってギア4になると海で溺れてしまうから!」


「知らんわ!なんで俺たちは集まってワンピ○スの話してんだよ!火口さんから怪しまれるだろ!」


「ゆきっちを除け者にしてる時点で怪しまれてるよ!」


「…………………」


 ごもっともです。


「と、とりあえず、まだテンションが上がってないので、まだ詰んではないよ!」


「うん、それが救いだけど、肝心なのはここからだね」


「あぁ、なんて言えば諦めてくれるのかはわからないところだな」


 “うーん”と3人で頭を悩ます。


(このままでは埒があかないなぁ……あ!この方法ならいけるんじゃないか!?)


 そう思ったため、俺はある提案をする。


「こうなったら、ジャンケンで負けた奴が誤魔化しに行って、失敗したら、全て、その人のせいにしよう!」


「いいよ!3人で考えても良い案が出てきそうにないから、その作戦でいこう!」


「ウチもその作戦にのったよ!」


「よし!ならジャンケンをするぞ」


 俺は理央と先島さんを見て、準備ができているのを確認する。


 俺たちは顔を見合わせて…


「「「ジャンケン……ポン」」」


 俺はグーを理央と先島さんがパーを出す。


「えっ!俺、負けんの!?」


「はい!じゃあ、よろしくね!」


「失敗したら、アウトレットで何か奢ってねー」


「くそぅ!」


(こういうのって提案者が負けるようになってるよね?)


 俺は本気でそう思った。




 俺は首を傾げている火口さんのもとへと歩く。


 ちなみに作戦は『無駄話をしているとリュー様の件を忘れるだろう』作戦。だって思いつかなかったんだもん!


「あ、あの…火口さん?」


「ねぇ、汐留さん。先島さんたちと、なに話してたの?」


「!?」


(やべぇ!?そんなこと聞かれるとは思わなかった!正直に話すわけにはいかないし……)


「えーっと…………あ!さっきは俺がバイト中にあった面白い話を披露してたんだよ」


「そうなんだね。私にも聞かせてほしいな?」


「うっ!」


 火口さんから、純粋に俺の話を聞きたいってことが伝わってきた。


(なんで、そんなことを聞くかな!?そんなもの準備はしてないんだけど!………ま、まぁ、俺の脳なら大丈夫だろう。火口さんがアウトレットに行くことを忘れるくらいのトーク力を披露してやるぜ!)


「えーっと……俺は喫茶店でバイトしてるんだけど、その時の話なんだが……」


〜回想(バイト中の出来事)〜


 ある日の15時頃、俺がバイトしていると、1人の男性客がやって来た。


「いらっしゃいませ」


 俺は挨拶をするが、返答なく、店員である俺に詰め寄ってきて…


「おい!ここの店の店長を呼んでこい!クレームがある!」


 その男性客はどうやら、今日の昼にテイクアウトした時のクレームを言いに来たらしい。


「申し訳ありません。現在、店長は外出中ですので、代わりに私が伝えます」


「そうか、それならしっかりと伝えてくれよ?」


「はい、どのような内容でしょうか?」


「あぁ、それなんだが………割り箸から木の匂いがしてきたんだよ!俺に『木で食べとけ!!』って言ってんのか!?あ!?」


「……………………申し訳ありません」


「ちっ!しっかりと店長に伝えとけよ!」


「はい……承知しました」


 俺の言葉を聞いて、男性客は喫茶店から出て行った。


〜完〜

※今まで応援ありがとうございました。汐留凛先生の次回作にご期待ください。


「ってことがあったんだよ!マジ、笑わずに対応した俺を褒めてほしい!『木で作られとるわ!』って指摘したかったし!」


「………………。さぁ、汐留さんの面白い話も聞けたので、さっそく、みんなでアウトレットに行って、リュー様を探しに行くよ!おー!」


「……………………」


 火口さんのボルテージを上げてしまう結果となる。


 俺は恐る恐る理央と先島さんを見る。


「ねぇ、先島さん。凛くんは今の話で、火口さんがアウトレットに行かなくなるって本気で思ったのかな?」


「うーん、汐留君のことだから、本気でそう思ったんじゃないかな?……バカだから」


「だよね……。バカだから仕方ないかなぁ」


「………………………」


(泣きてぇ……)


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作者から一言!

『ジャンケンで決めよう!』と、提案した人が大体負けるよね?そんなことないかな?これって作者だけかな?

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