第109話 あ、頭がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

前回のあらすじっ!

 あ、頭がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

                以上っ!


 先生から頭を握りつぶされたが、なんとか生き残り、現在はリビングに全員集まっている。


「それで、なんで三神さんと先生が家にあがってるの?食事会が終わったから、家に送ってもらっただけじゃないの?」


「えーっと、実は俺、命狙われてるらしいんだよ……。リューくんファンに」


「ふーん………ご愁傷様です」


「気の毒に思ってる場合か!」


「いや、どうせいつもの勘違いでしょ?」


 と、俺ではなく先生と三神さんに聞く。


「はい。正確に言えば、リュー様ファンに身バレするのも時間の問題ということです」


「はぁ、そうなると思いました。なぜか、ニュースで報道されてたので」


「えっ!舞、知ってたの!?なんで教えてくれなかったんだよ!?」


「お兄が知ったら『学校行かないっ!』とか言いそうだったから……」


「うっ!」


(やべぇ、絶対言うわ)


「妹さんがご存じなら、さっそく本題に入りたいと思います。私、芸能プロダクション『enjoy』で働いております『三神遥』と申します!」


 そう言って三神さんは舞に名刺を渡す。


「えーっと……芸能プロダクションの方がどのような用件でお兄と一緒にいるんですか?」


「はい!私は汐留凛さんが、芸能界で活躍できると、リュー様のコスプレを見て確信しました!だから、今日は芸能事務所所属の声掛けに食事会を設けた次第です!」


 それを聞いた舞は…


「へぇー、お兄、芸能事務所にスカウトされてたんだ」


 ジト目で聞いてくる。


「あ、あぁ。俺は三神さんに所属しても無駄なことを伝えてるんだが……」


「はぁ…まさか、お兄の顔がここまで拡散されてしまうのは、私も想定外だったよ」


「みんな俺のリューくんコスプレが下手だったから、拡散したくなったんだろう。『みてみてー!下手くそなんだけどー!ww』って感じでな」


「うん、もうそれでいいよ」


 “はぁ、やれやれ”みたいな感じで、雑に返答される。


「それで、お兄が三神さんと食事会をした理由はわかったけど、なんで家にいるの?」


「それなんだが、俺、芸能事務所に所属しようと思ってるんだ」


「なっ!そ、そんなのダメ!」


「や、やっぱりそう言われると思ったよ。だから、三神さんに説得の手伝いをしてもらいにきたんだ」


「えっ!お兄は芸能事務所に所属したいの!?そんなに可愛い女の子たちからチヤホヤされたい!?」


「そ、そんな理由で所属せんわ!」


「じゃあなんで?」


「な、なぜか、俺の正体を知ろうとしてる人たちが多いから、何かあった時のために芸能事務所に所属した方がって提案されて。所属すると三神さんが守ってくれるらしいからな」


「うっ!そ、そう言われると拒否しにくいけど……お、お兄は私だけのもの……ではなくて!えーっと……そ、そう!これ以上、お兄の顔が広まってしまうと、迷惑なの!」


(くっ!やはり説得は難しいか!)


 俺は諦めて、三神さんにバトンタッチする。


「お兄さんから話は聞いたと思うけど、現在、リュー様ファンから、おおよその場所は特定されてると思います。このままだと、正体がバレるのも時間の問題かと思います。私の事務所に所属していただくと、何かあった時は私が守ることができると思います」


「た、たしかにその通りなんだけど……」


 三神さんの説明を聞いても舞が頷く様子はない。


(そりゃ、こんなお兄ちゃんが世間に出るのは良くないよなぁ)


 そんなことを思っていると、その様子を今まで見ていた先生が突然立ち上がり、舞に近づく。


「汐留の妹よ、三神に聞いたら、まず汐留は『読モ』から活動してもらうらしい。つまり、汐留の写真集を手に入れれば……」


「い、いつでもプロが撮ったカッコいいお兄を見ること……じゃなくて!お兄を脅すことができる!」


「そういうことだ。是非、私が汐留をいつでも脅すことができるのよう、ここは頷いてくれないか?」


「そのお願いはおかしいだろ!」


(てか、俺、所属だけお願いしたはずなのに、なぜ『読モ』をすることになってんの!?)


「な、なるほどです。こ、これは所属すべきですね」


(えっ!俺、先生の話聞いてから所属したくなくなったんだけど!?)


「ホントですか!ありがとうございます!妹さん!」


「いえいえです!お兄の良き写真集をお願いします!」


 そんな話をしながら握手する舞と三神さん。


 今更ながら『やっぱり所属やーめる!』とか言える空気ではありませんでした。

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